エジプト南部ルクソールの西岸にある「王家の谷(Valley of the Kings)」は、古代エジプト新王国時代のファラオたちが眠る王墓群です。ツタンカーメン王の墓が発見された場所としても有名で、ルクソール観光では必ず訪れる定番スポットとなっています。
現在までに発見されている王墓は64基。その多くには色鮮やかな壁画が残されており、数千年前の宗教観や死後の世界観を今でも感じることができます。

この記事では、「どの墓に入ればいい?」「ツタンカーメン墓は追加料金を払う価値ある?」など、実際に迷いやすいポイントを、実体験ベースでまとめました。
エジプト旅行全体の基本情報はこちらでまとめています。
→ エジプト旅行の基本情報まとめ|気候・服装・ビザ・通貨・注意点を徹底解説

王家の谷とは?
王家の谷は、紀元前16世紀頃から約500年間にわたり、新王国時代のファラオたちが埋葬された王墓群です。
古王国時代のピラミッドとは違い、新王国の王たちは盗掘を避けるため岩山を掘って墓を作るようになりました。その結果、ルクソール西岸の谷には多くの王墓が造られることになります。1922年にはイギリスの考古学者ハワード・カーターによってツタンカーメン王の墓が発見され、世界中を驚かせました。
ちなみに古代エジプト人は、日が沈む西を「死者の世界」と考えていました。ルクソール西岸に墓地が集中しているのはそのためで、ナイル川を挟んで東岸(神殿・生者の街)と西岸(墓・死者の世界)がきれいに分かれています。この世界観を頭に入れて歩くと、遺跡の見え方が少し変わります。
【豆知識】王家の谷の真上にそびえる岩山は、遠くから見るとピラミッドのような三角形をしています。古代エジプト人はこの自然の山を「ホルス神が宿る聖なる場所」として崇めており、その麓に墓を造ったとも言われています。人工のピラミッドを建てなかったのに、自然のピラミッドの下に眠っているというのが、なんとも面白いところです。

王家の谷は、ルクソールの他の遺跡とともにユネスコ世界遺産(古代テーベとその墓地遺跡)にも登録されています。
王家の谷の場所(ルクソール西岸)
王家の谷は、ナイル川西岸の岩山地帯にあります。ルクソール市街地からの距離は約10kmほどで、西岸観光ツアーの中に含まれていることが多いです。多くの旅行者は王家の谷・ハトシェプスト女王葬祭殿・メムノンの巨像をセットで観光します。東岸・西岸の効率的な回り方やモデルコースについては、ルクソール観光まとめ記事で詳しく解説しています。
→ 【ルクソール観光まとめ】見どころ・モデルコース・行き方・必要日数を解説
王家の谷の開園時間
| 時期 | 開園時間 |
|---|---|
| 冬季(10月〜4月頃) | 6:00〜17:00 |
| 夏季(5月〜9月頃) | 6:00〜19:00 |
💡 朝イチ(開園直後)に入場するのがおすすめです。混雑が少なく、気温も比較的マシです。昼近くになると一気に観光客が増え、日差しも強くなります。
王家の谷のチケット
王家の谷の入場チケットは少し特殊な仕組みになっています。基本チケット1枚で、公開されている墓の中から3つ選んで入場できます。ただし、人気の墓はチケットが別途必要な場合があります。

| チケット種別 | 料金(2024年11月時点) | 備考 |
|---|---|---|
| 基本チケット | 750 EGP | 公開されている墓から3つ選んで入場。クレジットカードのみ(現金不可) |
| ツタンカーメン墓(KV62) | 追加700 EGP | 別途追加チケットが必要 |
| ラムセス5世・6世墓(KV9) | 追加220 EGP | 別途追加チケットが必要 |
| セティ1世墓(KV17) | 追加2,000 EGP前後(変動あり) | 高額。訪問前に最新情報を要確認 |
私は基本チケット+ラムセス5世・6世の墓+ツタンカーメンの墓を購入し、合計1,670 EGP(日本円で約5,316円)でした。
💡 支払いはクレジットカードのみ(現金不可)です。Visa・Mastercardが使えます。JCBカードもステッカーが貼られてたので使えると思いますが、ビザカードやマスターカードが確実だと思います。Amexは使えない場合があるため注意。
料金は頻繁に変更されます。訪問前に必ず最新情報を確認してください。
事前にオンラインで購入することも可能で、窓口の行列を回避できます(公式:egymonuments.com)。

海外でのカード決済に不安がある方は、エポスカードがおすすめです。海外キャッシングの繰り上げ返済がスマホの「エポスNet」アプリからいつでもできるので、利息を最小限に抑えられます。エジプト旅行でのカード選びについてはこちらもどうぞ。
→ 海外旅行のクレジットカードはこの2枚でOK|エポスカード×楽天プレミアムカード実体験レビュー
なお、公開されている墓は日によって異なります。お目当ての墓が閉まっていることもあるため、事前に5つほど候補を決めておくのがおすすめです。
エジプト旅行全体の費用感が気になる方はこちらもどうぞ。
→ 【エジプト旅行費用まとめ】15日間ひとり旅の総額と内訳を全公開
王家の谷のおすすめ墓
以下は実際に訪れた5つの墓の中から、特におすすめの墓を紹介します。
初心者におすすめの3墓
| 墓 | 理由 | チケット |
|---|---|---|
| KV9(ラムセス5世・6世) | 壁画の密度と保存状態がトップクラス | 追加料金220EGP |
| KV16(ラムセス1世) | 基本チケットで入れる墓の中で色彩美が抜群 | 基本チケットで入場可 |
| KV2(ラムセス4世) | 保存状態が良くバランス型。天井の女神ヌトも見もの | 基本チケットで入場可 |
どの墓を選べばいい?
| 重視するもの | おすすめの墓 | チケット |
|---|---|---|
| 壁画の迫力 | KV9(ラムセス5世・6世) | 追加料金220EGP |
| コスパ重視 | KV16(ラムセス1世) | 基本チケットで入場可 |
| 有名さ・歴史の重み | KV62(ツタンカーメン) | 追加料金700EGP |
どう組み合わせるか迷っている方向けに、パターン別のおすすめコンボも参考にしてください。
| コース | 組み合わせ | 特徴 |
|---|---|---|
| 壁画・色彩重視 | KV9(追加)+ KV16 + KV2 | 壁画の密度と色彩美を堪能したい人向け。追加料金は220EGPのみ |
| 王道・歴史満喫 | KV62(追加)+ KV9(追加)+ KV16 | 有名どころを全制覇。追加料金合計920EGP |
| 追加料金なしコース | KV16 + KV2 + KV1(またはその日の公開墓) | 基本チケットのみで十分楽しめる。コスパ重視の方に |
迷ったらまずKV9(ラムセス5世・6世)は外さないこと。壁画重視なら、追加料金220EGPを払う価値を感じる人は多いと思います。
正直なところ、全部入りたいのですが基本チケットで選べるのは3つまで。これが王家の谷で一番悩むところです。私の場合は結局「壁画が一番きれいと評判のKV9」と「ここまで来てツタンカーメンを見ないのか」という気持ちに負けて、追加料金を2つとも払いました。
迷っている方向けに、優先度の目安をまとめると:
とにかく壁画を見たい → KV9(ラムセス5世・6世)一択です。追加料金220EGPを払う価値は十分あると思います。
追加料金を払いたくない → KV16(ラムセス1世)がコスパ最強。基本チケットで入れる墓の中では色彩美がずば抜けています。
「名前を知っている墓に入りたい」 → KV62(ツタンカーメン)ですが、壁画目当てなら正直KV9の方が上です。「あのツタンカーメンのミイラと同じ空間にいる」という体験に価値を感じる方向けです。
ラムセス5世・6世の墓(KV9)★個人的1位
正式にはラムセス5世が掘り始め、ラムセス6世が完成させた墓で、通称「ラムセス5世・6世の墓」と呼ばれています。長い通路と天井いっぱいに描かれた壁画が特徴で、古代エジプトの死後の世界を描いた「洞窟の書」などの場面を見ることができます。天井一面に広がる星図や神々の絵は、まるで宇宙に包まれているような感覚で、他の墓ではなかなか見られない圧倒感がありました。追加料金(220EGP)が必要ですが、壁画の密度と保存状態は王家の谷の中でもかなり高いレベルです。

ラムセス1世の墓(KV16)★コスパ最強
規模は小さいものの、玄室を埋め尽くす「エジプシャン・ブルー」の美しさが印象的です。深い青の壁画に赤・黄の神々が浮かび上がる光景は、王家の谷でもトップクラスの色彩美です。基本チケットで入場できる墓の中では間違いなくおすすめの一つです。

ツタンカーメン王の墓(KV62)★歴史の重みなら別格
王家の谷で最も有名な墓です。1922年にハワード・カーターによって発見され、現在でもツタンカーメン王のミイラが安置されています。規模は小さく壁画の豪華さではKV9に劣りますが、「豪華な墓を見に行く場所」ではなく「本物のツタンカーメン王が眠る空間に入る場所」と考えると、満足度はまったく違います。数十cmの距離でミイラを目にするあの感覚は、ここでしか味わえません。
なお、あの有名な黄金のマスクや副葬品はここにはありません。カイロのエジプト博物館、または近年開館したギザの大エジプト博物館(GEM)に展示されています。「黄金のマスクが見たい」という方はカイロ観光の際にあわせて訪れてください。
→ カイロ観光まとめ|2日・3日モデルコースとおすすめスポット完全ガイド

| 墓 | 墓番号 | 特徴 | チケット |
|---|---|---|---|
| ラムセス5世・6世の墓 | KV9 | 壁画の密度と保存状態がかなり高い。天井の星図が圧巻 | 追加料金(220EGP) |
| ラムセス1世の墓 | KV16 | エジプシャン・ブルーの美しさが格別。コスパ最強 | 基本チケットで入場可 |
| ラムセス4世の墓 | KV2 | 保存状態が良く初心者にもおすすめ。天井の女神ヌトが美しい | 基本チケットで入場可 |
| ラムセス7世の墓 | KV1 | 入口近くで気軽に見学できる。床に彫り込まれた珍しい石棺の跡 | 基本チケットで入場可 |
| ツタンカーメン王の墓 | KV62 | 最も有名。ミイラが現在も安置。黄金マスクはカイロの博物館に展示 | 追加料金(700EGP) |
王家の谷観光の所要時間
| 所要時間 | 観光内容 |
|---|---|
| 約1時間 | 3つの墓を見学(駆け足) |
| 約1.5〜2時間 | 3〜4つの墓をゆっくり見学+写真撮影 |
墓の内部は階段や坂道が多く、思ったより体力を使います。1つの墓あたり10〜20分ほどかかるため、3つ回るだけでも気づけば1時間以上経っています。余裕を持ったスケジュールがおすすめです。
王家の谷観光の注意点
① とにかく暑い・日陰がほとんどない
王家の谷は岩山に囲まれた場所にあり、日陰がほとんどありません。11月でもベストシーズンとはいえ日差しは強く、夏は40℃を超えることもあります。帽子・水・日焼け止めは必須です。帽子や日焼け止めは日本から持参するのが安心。特に帽子は現地では質の良いものが見つかりにくく、日本で準備していくのをおすすめします。持ち物全体については以下の記事も参考にどうぞ。
→ エジプト旅行の持ち物ガイド|一人旅で後悔したリアルな必須リスト

💡 電動カートには絶対乗ること
チケット売り場から墓エリアの入口までは地味に距離があり、しかも日陰がほとんどありません。20EGP(2024年11月時点)の電動カートを使えば一気に移動できます。歩けない距離ではないですが、11月でもこの区間を歩くのは正直キツかったです。特に夏場は熱中症リスクも上がるので、惜しまずに乗ることをおすすめします。
③ 墓の内部は蒸し暑い
地下の墓の内部は空気がこもりやすく、かなり蒸し暑く感じることがあります。水分補給をこまめに行いましょう。

④ 写真撮影ルール
スマートフォンでの撮影は基本的に可能ですが、フラッシュ撮影は禁止されています。遺跡によってはカメラの種類に制限がある場合もあります。撮影ルールは変更されることがあるため、現地の案内表示や係員の指示を優先してください。
⑤ 公開墓は日によって異なる
その日に公開されている墓はチケット売り場前に貼り出されています。行きたい墓が必ず開いているとは限らないため、候補を複数用意しておきましょう。
⑥ 足元はスニーカーで
墓の内部は坂道や砂が多く、サンダルだと足元がかなり不安定です。歩きやすいスニーカーで行くことをおすすめします。海外旅行の持ち物全般についてはこちらも参考にどうぞ。
→ 海外旅行の持ち物ガイド|実体験で厳選した必須アイテムと不要だったもの
⑦ スマホの電波が弱くなる
谷の奥まで進むとスマホの電波がかなり弱い場所もあります。地図や見どころは入場前に確認しておくと安心です。私はエジプトではahamoを使っていましたが、市街地では問題なく繋がりました。谷の奥ではやや不安定でしたが。
海外の通信手段比較はこちらもどうぞ。
→ 海外旅行の通信手段5つを比較|格安SIMユーザーが損しない選び方
また、電波が弱いエリアでの移動中や待ち時間には、事前にダウンロードしておいたAudible(Amazon)のオーディオブックやKindle読み放題
が役立ちます。長い移動時間やホテル滞在中にも活躍しました。
王家の谷への行き方
王家の谷は西岸に位置するため、ルクソール市街地から移動手段が必要です。主な方法は以下のとおりです。
| 移動手段 | 特徴 |
|---|---|
| 西岸観光ツアー | 一人旅に最適。複数スポットをまとめて効率よく回れる |
| タクシーのチャーター | 自由度が高い。料金は事前交渉が必要 |
| フェリー+タクシー | ナイル川をフェリーで渡り、西岸でタクシーを拾う方法 |
💡 一人旅の場合、2名以上参加必須のツアーが多いため注意が必要です。私はagodaが当時キャンペーン中だったので「一人参加可能」なツアーを検索して予約しましたが、残念ながら現在はキャンペーンは行われてないようです。そのため、klook、GetYourGuide、Trip.comなどでも同様の現地ツアーがありますので出発前にオンラインで探しておくのが一番確実です。
▶ 王家の谷のツアーを探してみる(GetYourGuide)
「やっぱりツアーで安心して行きたい」という方は、大手旅行会社のパッケージツアーも検討してみてください。添乗員・ガイド付きで、はじめてのエジプト旅行でも安心です。
まとめ
王家の谷は、古代エジプト新王国時代のファラオたちが眠る王墓群であり、ルクソール観光のハイライトともいえるスポットです。ツタンカーメン王の墓をはじめとする多くの王墓には、数千年前に描かれた壁画が今でも鮮やかに残っています。

ルクソールを訪れるなら、ぜひ王家の谷観光をスケジュールに入れて、古代エジプトの歴史と文化を体感してみてください。
ルクソール滞在のホテルはこちらから探せます。
▶ ルクソールのホテルを探す(Trip.com)
▶ ルクソールのホテルを探す(Agoda)
訪問レポートは以下のページをご覧ください↓
【エジプト旅行⑰】王家の谷観光ガイド|ツタンカーメンの墓・チケット料金・おすすめの墓5選【ルクソール】
ルクソールにはこの他にも多くの見どころがあります。東岸・西岸の効率的な回り方やモデルコース、必要日数まで、ルクソール観光の全体像はこちらの記事で解説しています。
→ 【ルクソール観光まとめ】見どころ・モデルコース・行き方・必要日数を解説
エジプト旅行全体のルートや費用・体験についてはこちらもどうぞ。
→ エジプトひとり旅15日間の全記録|不安だった私が、行ってよかったと思うまで
→ ギザのピラミッド観光完全ガイド|入場料・チケット・回り方・早朝がおすすめな理由
→ 【アスワン観光まとめ】アブシンベルの行き方・フィラエ神殿・宿選び・移動手段を解説


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