※この記事は連載「星空と夜景を追うひとり旅。ときどきナーダム。」の第16話です。
前回の記事は【星空と夜景⑮】モンゴルの草原ゲルで迎えた満腹ランチ&ディナー、そしてモンゴル最後の夜をご覧ください。
モンゴル滞在最後の夜。
それは同時に、モンゴルで迎える「最後の星空観賞」であり、「最後の星景写真撮影」の時間でもありました。
星空の観賞や撮影は、とにかく天気に大きく左右されます。せっかく遠くモンゴルの大草原までやってきても、曇ってしまえば星を見ることはできません。
だからこそ、旅行の出発前には「念のため、草原での宿泊は2日にしておこう」と決めていました。
どちらか1日でも晴れてくれれば……と願っていたのですが、とても幸運なことに2日とも晴れてくれました。
本当に、ホント〜〜に運がいいと思います。おそらく日頃の行いがいいからです(笑)。
ちなみに、この日程はもともと新月に合わせて組んだものでした。というのも、月が明るいと空全体が白っぽくなって、天の川はぐっと見えづらくなってしまうようなのです。
私も星空撮影を始めたばかりで詳しいわけではないのですが、「とりあえず新月を狙っておけば間違いないらしい」という、その程度の知識で日程を決めました。
実際、この夜は前日が新月。月明かりゼロの、星空にとっては最高の条件だったようです。
星空目的なら、まず月齢カレンダーを見てから航空券を取る
天気だけは当日までわかりませんが、月の満ち欠けは事前に調べれば確実にわかります。日程に融通がきくなら、新月の前後を狙うだけで星空の見え方はかなり変わるようです。日程が動かせない場合は、月が沈む時間を調べて「月が沈んだあとに撮る」という手もあります。
時期については、天の川の明るい中心部が見やすいのは夏——特に7〜8月が人気シーズンとされているようです。このあたりは第13話で調べた内容をまとめています。
📍Kayak Camp(Googleマップ)/設備や食事の詳細は第12話のゲル宿泊レビューに、旅全体の日程と費用はモンゴル旅行4泊5日まとめに整理しています。
モンゴルの星空は何時から見える?暗くなるまでの待ち時間は、本と音楽で
モンゴルの夏は日が暮れるのが遅いため(※夜が明けるのも早いです)、本格的な暗闇を待つ間、私はゲル内でゆったりと過ごしていました。
参考までに、7月中旬のウランバートル周辺は日の入りが20時45分〜50分頃。ただ、日が沈んでもすぐに星空にはなりません。前夜の実感では、肉眼でほぼ暗闇だと感じたのが22時50分頃。さらに調べたところ、空が本当に真っ暗になるのは23時半頃からのようです。
つまり、22時台の後半には撮り始められるものの、完全な暗闇を待つなら23時半頃が本番ということになります。実際、この日に私が撮影を始めたのも23時30分頃でした。
「夕食後に外へ出れば星が見える」というイメージで行くと、思ったより待つことになるので要注意です。
前夜の空の変化を時刻ごとに記録した表は第13話に載せています。
私はこの時間、ゲルのベッドに寝転がってスマホで本を読んだり、音楽を聴いたりして過ごしていました。テレビもなければ、やることも特にない。でも、これがまた良い時間でした。草原の真ん中で、外がゆっくり暗くなっていくのを感じながら、静かに文字を追う。日本ではまず味わえない贅沢だと思います。
草原のゲルは電波が弱いことも多いので、あらかじめスマホに本や音楽をダウンロードしておくのが正解です。私が普段使っているのはこのあたり。
アマゾンkindle読み放題 ……旅行前に何冊か落としておけば、圏外でも読めます
アマゾンミュージック ……草原で聴く音楽は、なぜか妙に沁みます
Amazon Audible ……寝転がったまま目を閉じて聴けるので、暗くなるのを待つ時間にちょうどいいです
ちなみに、海外での通信手段については海外旅行のネット環境比較(eSIM・レンタルWiFi・ahamo)でまとめています。草原はどうしても電波が心細くなるので、事前のダウンロードは本当におすすめです。
部屋でくつろいでいると、この日も宿のスタッフの方がやってきて、「ファイヤー?」とストーブに火をつけるか尋ねてくれました。しかし、この日はそこまで冷え込んでいなかったので「No, thank you」と伝えてお断りしました。
もしこの日に火を焚いていたら、ゲル内がサウナのような暑さになっていたのではないかと思います。外を見渡しても煙が出ているゲルはなかったので、さすがにこの日は誰もストーブを使っていなかったようです。
7月でも、草原の夜は防寒着が必要です
ここで一つ、実際に行く方に伝えたいことがあります。
7月のモンゴルでも、草原の夜は防寒着が必要です。
私はライトダウンジャケットを持って行き、実際に着ていました。この日は体感で15度以上はあったと思いますが(温度計で測ったわけではないので、あくまでテキトーな感覚です)、前日はもっと寒く、ダウンがなければ撮影どころではなかったと思います。
不思議だったのは、ウランバートル市内では夜でもまったく寒くなかったこと。同じモンゴルで、車で1時間ちょっとしか離れていないのに、なぜこんなに違うのか。
「草原のほうが標高が高いから?」と思って調べてみたのですが、そもそもウランバートル自体が標高1,300mほどの高地。標高差が理由とは考えにくいようです。
推測ですが、都市部は建物やアスファルトが日中の熱を溜め込むため夜も冷えにくく、逆に遮るもののない草原は熱が空に逃げやすい——この差のほうが大きいのではないかと思います。
いずれにせよ、「昼は半袖で汗ばむのに、夜は震える」のがモンゴルです。
モンゴルで星空撮影を考えている方は、防寒着だけは絶対に忘れないでください。
じっと立ったまま何十分も撮影するので、歩いている時よりずっと体が冷えます。
ウランバートル市内の体感で判断せず、草原に出るなら薄手のダウンか何か羽織るものを1枚。荷物にはなりますが、後悔はしないはずです。
持ち物全般については海外旅行の持ち物リストもあわせてどうぞ。前日、油断して昼と同じ格好で外に出てしまった時の話は第13話に書いています。
カメラを通すと、見えていないはずの明かりが写る
ベッドの上で昨日撮影した写真を見返したりしながら静かにその時を待っていると、ひとつ気になることに気づきました。
肉眼では大したことのない、かなり離れた場所にある別の宿泊施設の明かりが、カメラを通すとかなり明るく写り込んでしまっていたのです。
なぜ小さな明かりが問題になるの?
星は光がとても弱いので、星空を撮るときはカメラのシャッターを長い時間(数秒〜数十秒)開けっぱなしにして、少しずつ光を溜めていきます。ところがこの方法だと、星以外の明かりも同じように溜まってしまうのです。
目で見ると「ぼんやりした遠くの光」でしかないものが、写真では煌々と光る白い塊になる。これが星空撮影の厄介なところでした。
しかも、せっかく天の川が写っているのに「なんだかモンゴルらしさが足りないなぁ」とも思っていました。
「もっとモンゴルらしい構図で撮りたい。でも、夜間に歩いて敷地のフェンス外まで出ていくのは流石に危なさそうだし、どうしようか……」
そう悩んでいた時、ふと思いつきました。
「そういえば、私のゲルの後ろ側にあるゲルは、今日は宿泊客がいなさそうだな。ゲルの後ろ側に回って撮ってみよう!」
そんなことを考えていた23:20頃、宿の方から「冷蔵庫で冷やしている飲み物を持って行きましょうか?」と連絡が入りました。前の晩にお願いして預けておいた缶ビール(Sengür/セングル)です。
ゲルには冷蔵庫がないので、飲み物を冷やしておきたいなら厨房で預かってもらうしかありませんでした。
すかさず「Yes, please」とお願いし、今夜の楽しみにしていたビールを受け取りました。少しでもぬるくならないよう、受け取ったビールは冷気のあるゲルの外へそっと置いておきます。
こうして準備を整え、23:30頃からゲルの後ろ側で天の川を狙うべく撮影を開始しました。
最大の敵は、足元のフットライトだった
しかし、いざ外に出てみると、なかなか思うようにはいきません。敷地内には足元を照らすフットライトが所々に設置されており、明かりが画面に入り込まない構図がうまく決まらないのです。
ちなみに、その足元の明かりというのは、実際にはほんのりとした優しさで眩しさは一切ありません。しかし、そんなささやかな明かりでさえ、長い時間ぶんの光が写真に溜まってしまうため、カメラのレンズを通すとかなり明るく写り込んでしまう。星空撮影には大きな影響が出てしまうのだと、昨日の撮影で実感していました。
そこで、フットライトがある場所を通り過ぎて、できるだけ明かりの影響を受けない敷地内の端っこまで向かいました。
そこは足元が草むらになっていて、まさに漆黒の闇。ライトで照らしながら歩かないと足元が完全に見えません。
足元も見えないので、そのへんで牛でも寝ていたら普通に激突していたと思います。
もちろん敷地内に牛はいませんが。
ただ、これは冗談抜きで気をつけたほうがいいところです。段差も、くぼみも、張ってあるロープも、暗闇では本当に何も見えません。撮影に夢中になっているとなおさら足元への注意がおろそかになります。
草原で夜撮影する場合は油断せず、明るいうちに一度歩いてみて、どのあたりが平らで安全か確かめておくと安心だと思います。
1日目の失敗が、そのまま2日目の武器になる
それでも、昨日あれこれと試行錯誤しながら撮影したおかげで、今日はその経験をしっかりと活かすことができました。前日よりもずっとスムーズに撮影を進められます。
気候的にも昨日ほど寒くはなく、雲もない完璧な夜空に見えました。天の川の現れる位置も昨日ですっかり把握していたため、カメラの向きもバッチリ決まります。
ちなみに、今回撮影した写真は北側と南側がほとんどでした。東側は敷地内にあるレストラン棟の明かりが点いており、星空撮影には眩しすぎるため断念せざるを得ませんでした。
一方の西側は……自分でも不思議なのですが、なぜかこの日は撮影していません。あの時の私はとにかく天の川に意識がいき過ぎていたのだと思います。「もっと西側の空も撮っておけばよかったな」と、あとから少しだけ後悔しました。
2日目は基本的に、ゲルが画面に入るような構図で星空を撮影しました。

今考えると、「逆になぜ昨日はゲルを写さずに天の川だけを撮影していたんだろう?」と不思議に思えます。きっと昨日は、人生初となる天の川の写真が撮れたことに興奮しすぎていたのだと思います。
その日は「撮れた」という事実だけで頭がいっぱいで、構図まで考える余裕がまったくありませんでした。
写真撮影が上手なプロの方々は、こういった構図まで事前にしっかり考えて下見などをしているのだろうなと痛感しました。私のように「その場で考える」ではダメですね。ですが一応、私も昨日よりは確実に成長しています。
今回の2日間でいちばん学んだのが、まさにここでした。星空撮影は、暗くなってから構図を探すのではなく、明るいうちに撮る場所を決めておいたほうがいいということです。
昼のうちにゲルの周りを歩いて、「どこに明かりがあるか」「地上に何を入れたいか」を見ておくだけで、夜の動きがまったく変わります。私は1日目にそれをやらなかったので、暗闇の中を手探りで場所探しするハメになりました。

この日は天の川をメインに据えつつ、ゲルが一緒に写ることで「モンゴルらしさ」のある写真を撮ることができました。
昨日よりはよく撮れている感覚がありましたが、やはりわずかな地上部分の明かりが写真に影響している印象は拭えません。

ここも相当な暗闇でしたが、雑誌に載っているような綺麗な天の川を撮影しているプロの方は、文字通り明かりが一切存在しない本当の暗闇の中で撮っているのだろうなと思いました。
プロは砂漠とか山奥とか、そういうところまで行くんでしょうね。
私はゲルの裏です(笑)。
モンゴルの星空撮影に、実際に持って行ったもの
参考までに、今回の星空撮影で実際に私が持って行った装備を挙げておきます。特別なものはありませんが、どれか一つでも欠けていたら、あの写真は撮れていなかったと思います。
星空撮影に持って行ったもの
・ミラーレスカメラ
・明るいレンズ(暗い場所でも光をたくさん取り込めるタイプのもの)
・三脚(長い時間シャッターを開けるので、手持ちでは絶対に撮れません)
・有線のレリーズ(カメラがブレないようにシャッターを押すための道具)
・ライトダウンジャケット
・ユニクロの超極暖(下)
・ヘッドライト
・モバイルバッテリー
・カメラの予備バッテリー(結局この日は使いませんでした)
・虫除け
夜の草原は足元が完全に見えないので、ライトは必須です。両手が空くヘッドライトだと、カメラを操作しながらでも使えて便利でした。私が使っていたライトには赤色モードもあって少しだけ使いましたが、実際はほとんど白い光のいちばん暗い設定を使用してました。他にも周りに人がいるのであれば迷惑をかけないように赤色モードを使用しますが、誰もいなかったので白色の明かりを利用してました
予備バッテリーは今回は出番がありませんでしたが、夜は冷えるうえに長時間シャッターを開け続けるので、持っておいて損はないと思います。虫除けは、一応使いましたが、蚊やハエなどは見かけませんでした。
意外と侮れないのが下半身の防寒です。上着ばかり気にしていましたが、じっと立って撮影していると足元から冷えてきます。ユニクロの超極暖を履いていて本当に良かったと思いました。
それぞれの機材を選んだ理由や実際の価格については、第13話で詳しく書いています。
もっと本気で星空を狙うなら、モンゴルのどこへ行くべき?
今回私が泊まった場所は、ウランバートルから車で1時間ちょっと。アクセスがいい分、周囲にはそれなりに施設の明かりがありました。
ガチの星空撮影を狙うなら、もっと市街地から離れた場所という選択肢もあります。
調べてみたところ、モンゴルで星空が美しいとされているのは主にこのあたりのようです(いずれも私は訪れていないので、あくまで調べた情報です)。
| エリア | 特徴 |
|---|---|
| 南ゴビ(ゴビ砂漠) | 乾燥した地域が広がり、人工の明かりが少ない環境が多いことから、星空撮影の候補地として人気があるようです。ただし天候は季節や日によって変わるので、必ず晴れるわけではなさそうです。ウランバートルからは国内線でダランザドガドまで約1時間30分 |
| テレルジ国立公園 | ウランバートルから比較的近い定番の景勝地。奇岩と組み合わせた構図が狙えそうです |
| フブスグル湖 | 「青い真珠」と呼ばれる北部の湖。湖面と星空の組み合わせが期待できます |
| カラコルム周辺 | 古都と草原。世界遺産と絡めた旅程に組み込みやすいようです |
そもそもモンゴルは世界でも人口密度が最も低い国のひとつで、しかも人口の半数近くが首都ウランバートルに集中しているとされています。つまり、首都から離れるほど、人工の明かりが少ない場所を見つけやすいということです。
とはいえ「郊外に出れば真っ暗」というほど単純でもありません。今回まさに私が、宿のフットライトとレストラン棟の明かりに悩まされたばかりですし……(-_-;)
裏を返せば、「天候と月明かりに恵まれれば、ウランバートル近郊のゲルでも十分に綺麗」だけれど「本気で撮るなら人工の明かりが少ない場所ほど有利」ということだと思います。
私のように「初めてのモンゴル」「日程も限られている」という場合は、ウランバートル近郊のゲルキャンプでも十分に感動できます。実際、私はこの場所で忘れられない星空に出会えました。
ただ、ゴビ砂漠やフブスグル湖のような遠方エリアは、個人手配だと国内線の予約に加えて、現地での車とドライバーの手配まで自分でやることになります。
私はウランバートルから車で1時間ちょっとの場所ひとつ予約するだけでも、宿からの返信が来なくて何日もやきもきしました(その顛末は第10話に書いています)。それが国内線と車の手配まで加わると、正直かなりハードルが上がるはずです。
「移動と手配で消耗せず、星空だけを見に行きたい」という方は、国内線や車の手配までまとめて組まれた現地ツアーを探してみるのも手です。
VeLTRA(ベルトラ)のモンゴル現地ツアーを見てみる ……予約画面もカスタマーサポートも日本語で完結するので、英語でのやり取りに不安がある人でも選びやすいです
GetYourGuideでモンゴルのツアーを探す ……掲載プラン数が豊富で、ウランバートル発の短いツアーも探しやすいので、日程の隙間を埋めるのに便利です
逆に「私が泊まったのと同じ場所でいい」という方は、Kayak Camp(Agoda)から空室を確認できます。この記事の写真は、全部この宿の敷地内で撮ったものです。
カメラを置いて、自分の目で見る時間
こうしてこの日の撮影は1時間ほどで切り上げ、最後はカメラを置いて、静寂の中でしばらく自分の目で生の星空を眺めることにしました。
本当に綺麗な星空です。間違いなく、私の人生で一番の星空でした。
「モンゴルの綺麗な星空」の写真や動画をネットで見かけて、「本当に生で見てもこんなに綺麗なのだろうか?」という疑問から始まった今回の旅。実際に自分の目で見たモンゴルの星空は、本当に美しく、胸が熱くなるほどの感動がありました。
昨夜も同じことを思いましたが、「本当にここに来て良かった」と心から感じました。
明日の朝にはこの場所を去ることになりますが、寂しさよりも圧倒的な満足感の方が強かったです。
最悪の場合、2日とも曇りや雨で星空が見えず、写真すら撮れない可能性だって十分にありえました。
そう考えると、2日とも晴れてくれたのは本当に運が良かったのだと安堵しました。
深い満足感に包まれながら、いったんゲルへ戻ってカメラを置き、外に置いていたビールを回収し、そのまま再び星空の下へ。
誰と乾杯するでもなく、大草原でひとり缶を掲げる。傍から見たら完全に不審者ですが、幸いここには誰もいません(笑)。
そして本人は、人生で最高にうまいビールを飲んでいます。
まだ冷たいビールを味わいながら、風の音すら静まった大草原で頭上に広がる無限の星々を見上げていると、この旅のすべての出来事が愛おしく思えてきます。

明日はいよいよ最終日。この最高の夜空を目に焼き付けながら、モンゴル最後の夜は静かに更けていきました。

※価格・気温・日の入り時刻などは2026年7月(著者の訪問時点)の実体験と、記事執筆時点(2026年8月)に調べた内容です。最新の情報は各公式サイト等でご確認ください。
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