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【星空と夜景⑭】モンゴルで人生初の乗馬体験|ガイドはまさかの少年、初心者でも安心の草原ツアー

モンゴルで乗馬体験 モンゴル旅行
モンゴルのお馬さん

※この記事は連載「星空と夜景を追うひとり旅。ときどきナーダム。」の第14話です。
前回の記事はこちら

昨夜は夢にまで見たモンゴルの天の川を撮影し、缶ビールで最高の一人乾杯を終えて就寝。
最高の気分のまま迎えた、モンゴルの草原でのゲル滞在2日目の朝です。

この日のメインイベントは、人生初の乗馬体験
料金・所要時間・初心者でも大丈夫だったのかといった実用的な情報は記事の最後にまとめていますので、必要な方は先にそちらへどうぞ。

朝7時、そこはすでに「真昼」だった

朝7時過ぎ、ふと目を覚ましてゲルの外をのぞいてびっくり。

「……待って、もう昼じゃん」

太陽はすでにギラギラと輝き、まるで正午かと思うほどの眩しさ。モンゴルの朝の訪れは早すぎる。

モンゴルの草原の朝
7時10分頃で、この天気です

前の晩は23時を過ぎてようやく本格的な暗闇になったのに、朝は7時でもうこの明るさ。夏のモンゴルは、とにかく明るい時間が長いのだと実感しました。

朝食の予定時刻は9時。それまでかなり時間があるので、ベッドの上でゴロゴロしながら外を眺めたり、スマホをいじったりして過ごすことに。

ふとゲルの天井を見上げると、煙突が突き出ている周辺にけっこうな隙間があることに気づきました。

(……ん? これ、虫とか入り放題じゃない? ていうか雨が降ったらどうするんだろ。そのままダイレクトに室内浸水?)

モンゴルのゲルの天井
透明の部分が破れたりしてます

そんな「豪快すぎる伝統建築」への素朴な疑問を抱きつつ、あっという間に9時になりました。お腹も空いたので、朝食会場であるレストラン棟へ向かいます。

📍この日泊まっていたKayak Camp(Googleマップ)/ゲルの設備や食事の料金は第12話にまとめています。


リゾートバイト?若いスタッフと、謎の「未知の液体」

レストラン棟に入ると、まだどこか眠気と戦っている様子の若い女性スタッフさんが朝食の準備をしてくれていました。

ふと周りを見渡すと……客、私一人。

え、他の宿泊客はどこへ? もしかして自分で食料を持ち込んでゲルで食べてるのかな?

それにしても、この宿のスタッフさんは若い人ばかり。年配の方は男女1人ずつ見かけた程度で、あとはみんな若いように見えます。
「モンゴル版リゾートバイト的なシステムでもあるのかな? それとも全員親戚?」なんて想像を巡らせていると、テーブルにドスンと大きな金属製のポットが運ばれてきました。

モンゴルの食堂での謎のポット
ポット上部に謎のプッシュ式の何かが付いてるんです

ポットの上部には押せる部分があり、何のための機能なのかよく分からなかったものの、とりあえず2、3回押してみました。……が、特に何も変化はなく、何のために押すのかは謎のまま。

私「これ、何ですか?」
スタッフ「〇〇〇〜(聞き取れず)」

コップも添えられていたので、「あ、お水かお茶かな?」と思い、とりあえず注いで一口ゴクリ。

「……ん???」

無味無臭の「お水」を想像して口に入れた瞬間、飲んだことのない味が口いっぱいに広がりました。飲み水ではない……のかもしれません。
焦った私は「ヤバい、飲んではいけないものかもしれない」と、そっとコップをテーブルに戻しました。(※あの液体が何だったのかは、未だに謎のままです……)

後から考えると、モンゴルの伝統的なミルクティー「スーテーツァイ」だったのかも、と思う瞬間もあるのですが、味の記憶があいまいで結局正体はわからずじまいです。

ゲル泊で大きなポットが出てきたら、たぶんこれです

帰国後に調べてみたところ、モンゴルでは塩を入れたミルクティー「スーテーツァイ」が日常的に飲まれていて、家庭やゲルなどで来客に振る舞われることもあるそうです(バターを加えるかどうかは、地域や家庭によって違いがあるようです)。甘いミルクティーを想像して飲むと、最初はかなり意外な味に感じる、という声も見かけました。
私が飲んだ「未知の液体」がこれだったのかどうかは、結局確認できていません。ただ、金属製の大きなポットで出てきたという状況を思うと、可能性はありそうだなと思っています。
これから泊まる方は、「甘くない、しょっぱいミルクティーかもしれない」と心の準備をしてから一口いくことをおすすめします。


大盛りモーニングと、乗馬予約の行方

謎の液体に怯えていると、ついに朝食が運ばれてきました!

パンに目玉焼きにトマト、きゅうり、そしてフルーツの盛り合わせ。
「おお、豪華!朝から贅沢だな〜」と美味しく食べていると……

モンゴルのゲルでの朝食
最初に運ばれてきた朝食。これだけでも十分だと思ってたのに

スタッフさんが無言でさらに次の料理を運んできてくれました。おそらく英語が話せないため無言だったのだと思います。

……えっ、まだあるの!?

次に運ばれてきたのは、ドカンと盛られたご飯(ネギ散らし)、謎の揚げ豆腐(?)、そしてカリカリのトーストと赤いソース。

モンゴルでのゲル宿泊での朝食
量が多いなという印象が強すぎて、美味しかったのは確かですが、味はあまり覚えてません

私の胃袋では完全に多すぎる量です。
普段から「出されたご飯はできるだけ残さない」をモットーに生きている私ですが、さすがにこの量には降参。泣く泣く残してしまうことに……ごめんなさい……!

ちなみにこの朝食は1食50,000₮(約2,360円)。この日、私は朝、昼、夕と3食お願いしてたのですが、この量なら、正直「朝食と夕食だけにしておけばよかった」というのが本音です。食事の料金や頼み方は第12話に詳しく書いています。

食事の最中、昨日施設を案内してくれた女性スタッフさんが爽やかにやってきました。

スタッフ「あ、今日の乗馬は何時がいいですか〜?」

あっ!覚えてたんだ!!

乗馬そのものの申し込みは、渡航前に宿から届いた案内メッセージの段階で済ませていました。ただ、到着してからも時間の案内が一切なくて「まあいっか!」と放置していたのです。どうやら「今日の予定は今日決める」のがここのスタイルのようです。

私「あ、特に予定はないのでいつでも大丈夫ですよ!」
スタッフ「分かりました〜!じゃあ時間が決まったら連絡しますね!」

何時に始まるか分からない乗馬体験を楽しみに、連絡が来るのをワクワクしながら待つことにします。


生ゴミは自然へ還る?散歩で見つけた「謎の緑」

大満足の朝食を終え、腹ごなしに敷地の外(フェンスの外)を少しお散歩してみることにしました。

外へ出て歩き始めてみたものの……そこはどこまでも続きます。あまりにも草原が広大すぎて、進んでも進んでも歩きではなかなか景色が変わりません。スケール感が違いすぎる。

そして何より重要なのが足元の警戒です。
視界の端々に転がっているのは、立派なサイズの馬のウンコたち。油断して景色に見とれていると足もとが大変な惨事になってしまうため、大きなウンコを器用に避けながら気を引き締めて歩を進めます。

モンゴルの広大な大草原とお馬さんのうんこたち
モンゴルの草原。芝生の上の茶色いのは動物のウンコ💩です

草原を歩くなら、汚れても平気な靴で行くのが正解です。白いスニーカーで来ていたら、たぶん一歩ごとに寿命が縮んでいたと思います。

そんな中、遠くでスタッフさんがバケツから「何か」を草原へばら撒いている姿が目に入りました。

(……待って。まさか私が残したあの朝食??)

「自分が残した朝食がモンゴルの草原にばら撒かれてたら、ちょっと嫌かも……?」とドキドキしながら、スタッフさんが去ったあとに現場へこっそり近づいて確認してみると……

モンゴルの草原へばらまかれた野菜
他の場所でも同じようなのを見かけたので、馬などの動物のためなのかもしれません

野菜の切れ端(調理クズ)のようでした。

良かった、私の残した朝食じゃなかった……!
生ゴミをそのまま草原に還すワイルドスタイル……なのかもしれません。そういえば数時間後にはこのあたりに数匹の馬の群れがやってきていたので、動物の餌にしていたのか、あるいは単に自然へ還す目的だったのか、実際のところは分かりません。モンゴルの雄大な自然と暮らしが繋がっているのを実感した瞬間でした。


「馬、早まりました」からの急展開

ウンコを避けつつ、どこまでも広がる大自然の景色をのんびり楽しんでいた10時37分頃。スマホに一通のメッセージが届きました。

「乗馬の時間は11:30になりそうです」

おおっ、ついに時間が決定した!すぐさま「Okay」と返信したのですが……

私はこのとき散歩で宿からそこそこ離れていたので、急いで戻るはめになりました。

そのわずか30分後の11:00頃、再びメッセージが。

「予定より早く馬が到着しそうです。着いたら連絡します」

……えっ、早まるパターン!?笑
モンゴル時間、遅れるだけじゃなくて前倒しもあるのか!

足元のトラップを横目に見つつ早歩きで急いでゲルの部屋へ戻ります。荷物を部屋に置いて準備を整えていると、11:10頃に着信が鳴り、「馬が到着しました」との連絡が!

乗馬中は両手を空けておいた方が安全だろうと思い、荷物は置いたまま身軽な状態で外へ飛び出しました。服装は上半身が半袖にUVカットパーカー、下はパンツ(ズボン)というラフな格好のままです。


ガイドはまさかの少年!?そして5秒後の失態

施設の入口へ急ぎ足で向かうと、そこには茶色と黒の美しい2頭の馬が待機していました。

「おお……かっこいい……!」

ワクワクしながら近づくと、宿泊施設の女性スタッフさんが一人の男の子を紹介してくれました。

スタッフ「彼があなたの乗馬体験の担当(ガイド)をしますね!」

そこにいたのは……どう見ても小学生くらいの男の子。

「……え、少年!??Σ(゚Дノ)」

勝手に「ザ・モンゴルのベテラン強面おじさん遊牧民」みたいなガイドさんを想像していたので、思わず二度見。まさかの可愛い少年ガイドの登場です。

驚いている私に、スタッフさんからいくつか乗馬の基本レクチャーが入ります。

スタッフ「馬に乗ったことはありますか?」
私「いいえ、初めてです!」
スタッフ「馬の後ろには絶対に立たないでくださいね。蹴られますから。あと、馬には必ず左側から乗ってください
私「はい!(よし、理解した!)」

スタッフ「では、乗ってみましょうか!」

そう言われた直後、私は何を思ったのか、吸い寄せられるように茶色い馬の「右側」へ……。

スタッフ「No No No!!! 左側から!!!」

大失態。
説明を聞いてからわずか5秒後、見事なまでに正反対の行動を取ってしまいました。
あまりの緊張で右も左も分からなくなっていたのかもしれません。

「こいつ、さっき『はい!』って返事したのに人の話全然聞いてないじゃん……」と思われたに違いありません。
(,,> ˑ̫ <,,)ゞ

しかし、左から乗るのと右から乗るので何か変わるのでしょうか?
馬にも右利きとか左利きとかがあって「私左利きなので、右から乗られると困るんですぅ」みたいな感じのことを訴えてくるのでしょうか?改めて思い返すと、なんでだったんだろうと思いました。

(※後日調べてみると、昔の騎士が左腰に剣を吊っていたことや、馬自体が左側から扱われるよう訓練されてきたことなど、複数の説があるようです(諸説あり、確定した由来ではないようです)。少なくとも、馬の利き手とか気分の問題ではなさそうでした……!)

おまけ:日本では、むしろ「右から」乗っていたそうです

調べていて面白かったのが、幕末〜明治に西洋式の馬術が入ってくる以前の日本では、武士はむしろ馬の「右側」から乗るのが作法だったとされていること。左腰に差した刀の鞘や柄が馬体に当たって乗りにくかったから、などの説があるそうです(これも諸説あるようです)。
つまり、私がうっかりやらかした「右側から乗ろうとする」という行動は、「私の江戸時代の前世の記憶がそうさせたのかもしれません。」……言い訳です(笑)。


『キングダム』の世界へ!いざ、大冒険の始まり

無事に(左側から)馬の上に跨がると、最後のアドバイスを受けます。

  • 手綱は絶対離さないこと(落馬すると大ケガするため)
  • 曲がりたい方向へ手綱を引っ張ること(左へ行きたい時は左、右へ行きたい時は右)

2〜3分ほどの超シンプルなレクチャーを終え、いよいよ出発の時!
ちなみにヘルメットやプロテクターの類は着けていません。ロープで引いてもらう形だったので怖さは感じませんでしたが、装備が気になる方は予約時に確認しておくと安心だと思います。

宿のスタッフさんに見送られ、心の中で映画『キングダム』の大沢たかおさん演じる王騎将軍になりきり、ニヤリと微笑みながら(心の中で)静かに呟きます。

(……ンフフフ、全軍……前進……!)

(※意味がわからない方はAmazonプライム・ビデオで「キングダム」シリーズを観て下さい。※配信状況は変わることがあります)

「パカラッ」「パカラッ」「パカラッ」

頼もしすぎる(?)小学生ガイドと共に、憧れだった乗馬の大冒険へと走り出しました。

少年は左手で自分の馬の手綱を握り、右手で私の乗る馬と繋がったロープを持っています。
私の馬はしっかりロープで引かれているので、勝手に暴走する心配もなさそうで一安心です。

モンゴルの草原で初心者が乗馬体験をする様子
少年に引っ張られ初の乗馬体験スタートです

「パカラッ」「パカラッ」「パカラッ」

基本的には先頭の少年の馬に私の馬がついて行く形で進むのですが、馬と馬の距離感がけっこう近い。
先頭の馬と私の馬の歩くスピードが一定ではないため、時折ふっと距離が開いてしまうのです。
すると私の馬が追いつこうとしてなのか、小走りで前の馬の真横にピタッとくっつくということが何度もありました。

その瞬間、私の左足が馬と馬の間にガッツリ挟まれます。

最初は「ヤバい!!足が押しつぶされる!!」と焦ってビビっていたのですが、実際に挟まれてみても、意外にも「ちょっと固めの枕に挟まれた」くらいの感触でした。

モンゴルの草原での乗馬体験 前の馬と並ぶ私の馬
私の馬が急に少し駆け足になって先頭の馬の横に何度も並んだりして足を挟まれました

……と、足挟まれ事件にホッとしたのも束の間。

私の馬が、また前の馬に追いつこうとして距離が縮まり始めた、まさにその時でした。

なんと前の奴が、歩きながらダイレクトにウンコを出し始めたのですΣ(゚Дノ)!!

「うおっ!???」

これには、王騎将軍(私)もビックリ!
しかも、豪快かつかなりの量!

間一髪、もう少しで私の左足がウンコ攻撃を喰らうところでした……。危なすぎる。

幸いにもその後は第2波の攻撃はありませんでしたが、左足が奴のお尻付近に近づくたびに、次の攻撃を警戒する緊張感を味わうことになりました。

「パカラッ」「パカラッ」「パカラッ」

乗馬前、スタッフさんから「落馬すると危険なので、手綱は絶対に離さないでください」と言われビビっていた私。

しかし、平坦な草原の道をしばらくパカラパカラと歩いているうちに、徐々に馬の揺れにも慣れ、少しずつ心に余裕が生まれてきました。

(……これ、もしかして片手で写真撮れるのでは?)

意を決して片手でスマホを取り出し、揺れに耐えながら何枚か写真を撮ることができました。

あとで確認してみると、馬の上でけっこう揺れていたにもかかわらず、手ブレもせず驚くほど綺麗な景色が撮れていました。いやぁ、本当に最近のスマホカメラの手ブレ補正技術は凄すぎる……! ただ、ガイドがロープで引いてくれる安全な区間だからこそできたことなので、無理はしないのが一番だと思います。

こうして馬に揺られながら周りを見渡してみると、広大な草原のそこかしこに、私が泊まっているような宿泊用のゲルが点在しているのが目に入りました。どうやらこの一帯は、観光ゲル(キャンプサイト)が多く集まっているエリアのようです。

モンゴルの草原にある観光用ゲル
観光用のゲルらしきなのが、たくさんありました

言葉は通じなくても、背中に感じる頼もしさ

前を行く少年の小さな背中にリスペクトを感じつつ、ふと頭の中にいくつかの疑問が浮かび上がってきました。

(この少年は、生まれた時からずっとこの大自然の中で遊牧民として暮らしているのかな?)
(学校とかはどうしてるんだろう? 夏休み? それとも学校には通わずに日常的にこうやって家業を手伝っているのかな?)

言葉が通じないため直接聞いてみることもできず、ただ沈黙のまま、馬上で堂々と前を進む彼の小さな背中を追いかけて草原を進んでいきます。

馬上で前を進むモンゴルの乗馬ガイド
見てください、この勇ましい姿を!

しかし、改めてよく考えてみると「小学生くらいの男の子が、言葉も通じない謎の外国人(私)を乗せて乗馬ガイドをしている」って、相当すごいことですよね。彼の中に不安とかはないのでしょうか?

自分が小学生だった頃なんて、言葉の通じない外国人と二人きりになっただけで泣いてたと思います。

無言で手綱を握り、前を進む彼の小さな背中が、なんだかとても頼もしく、格好よく見えてきました。


試練の坂道と、命綱のロープ離脱事件

「パカラッ」「パカラッ」「パカラッ」

しばらく平坦な道を進んでいた少年は、進路を左に変え、緩やかな丘(坂道)を登り始めました。

(……けっこうな坂だけど、馬はキツくないのかな?)

なんて私が馬の体力を心配していた、まさにその時です。

ピタッ。

私の乗っている馬が「坂とかマジ無理なんですけど」と言わんばかりに、突然足を止めて登るのを拒否!
前進していた少年と彼の馬も、少年の右手と繋がっていたロープにググッと引っ張られて強制ストップしてしまいました。

すると少年は、焦る様子もなく「ぷしゅー」「シュッ!」といった謎の「馬語」を口にし、右手のロープをグッと引っ張って私の馬を再起動させます。
急に少し大きめの声で「馬語」を言うもんだから、一瞬、私に何か注意してるのかと思ってビックリしてしまいました。
知らない人が見たら、小学生に怒られてる変な外国人に見えたかもしれません。

この少年の右手に握られたロープは、私にとってもまさに命綱。
少年もそれを分かっているのか、ロープが手から滑り落ちないよう、右手の甲にしっかり巻き付けるような感じで持ってるようでした。小学生とは思えないプロの所作……頼もしすぎる!

(……私の馬、坂がキツくて登りたくないのかな……? 無理やり乗せて坂を登らせていると思うと、なんだか申し訳ないな……)
(ていうかこれ、馬が完全にボイコットして動かなくなったり、暴走して逃げ出したりしたらどうするんだろう……?)

そんな私の不安をよそに、その後も「止まる→少年が馬語で一喝→引っ張って歩かせる」という攻防が3~4回ほど繰り返されました。

馬が止まりロープで引かれるモンゴルの乗馬ガイド
私の馬が止まって、引っ張られる少年

そんな少しの不安を抱えながら丘を登っていきます。

この日は本当に天気が良く、暑くも寒くもない絶好の乗馬日和。
「あぁ平和だなあ……」「馬に揺られてゆったり草原を巡るなんて、超贅沢な時間を過ごしてるなあ……」なんて心地よい雰囲気に浸りながら丘を登っていきます。

そして、ふと根本的な疑問が頭をよぎります。

(……ところで、これどこに向かってんだろ?)

この乗馬アクティビティに決まったコースがあるのか、それとも少年がその日の気分で適当にこのあたりを巡っているだけなのか……。そんな「どうでもいい疑問」を考えながら、坂を登っていきます。

そうこうしているうちに、「あそこが丘の頂上かな?」と思われる場所が徐々に近づいてきました。

(あの頂上まで行ったら、その先を下っていく感じなのかな?)

なんて呑気に先を予測していた、まさにその時です。

ピタッ。

またしても急に足を止める私の馬!

前のめりに前進していた少年は、完全に油断していたのか、私の馬の急停止に引かれて大きくバランスを崩しました。彼の乗る馬はそのまま前へ進もうとします。

その瞬間、少年の右手に巻き付いていたロープが、私の方へと腕を引っ張られたまま――

……すーっ……と、ゆっくり彼の手から離れていきました。

(※実際には一瞬の出来事でしたが、私には完全にスローモーションに見えました)

乗馬ガイドの手からロープが離れた瞬間
少年の手からロープが離れた瞬間!「あっ!」って顔してるように見えます

「……終わった」 ( ; >ㅿ< )

頭の中が真っ白になりました。

(このまま私の馬が暴走して逃げ出したらどうしよう!?)
(少年と離れ離れになったら、私はどうやって戻ればいいの!??)
(暴走した馬を誰がどうやって捕まえるの!?)

ほんのコンマ数秒の間に、あらゆる最悪のシミュレーションが脳内を駆け巡ります。私は落馬して振り落とされないよう、とにかく必死の思いで手綱をグッと強く握りしめました。

(ᗒᗣᗕ)՞՞ (……ヒィッ!!)

Σ(゚Дノ) (……あれ?)

……何も、起きませんでした。

ロープが外れた瞬間、私の馬がここぞとばかりに逃げ出すかと思いきや。奴はただ、そこに立ち止まったまま。
坂道を登るのをボイコットしたかっただけなのか、別に暴走して私を振り落とそうとか、そういう気持ちはなかったようです。

(あ、歩きたくないだけだったのね……焦ったぁ……)

(*´▽`*)

想像していたような大惨事は回避され、ただただ私がビビっただけでした。

馬から降りて近づいてくるモンゴルの乗馬ガイド
少年は笑いながら自分の馬から降りて、私の馬へと近寄ってきました

丘の頂上と、衝撃の「休憩ピラミッド」

ロープ離脱のハプニングの時も、少年は慌てず騒がず、歩いて私の馬に近づき、再びロープをしっかりと掴みます。

そこからは、彼は自分は馬には乗らず、徒歩で2頭の馬を引っ張りながら、眺めのいい丘の頂上を目指して一歩ずつ登っていってくれたのです。

徒歩で2頭の馬を引くモンゴルの乗馬ガイド
私だけ馬の上に乗って申し訳ない気持ちでした

小学生とは思えない、あまりにプロフェッショナルで頼もしい姿……!言葉は通じなくても、その背中が「大丈夫、僕が連れて行くから」と語りかけているように感じられ、なんだかとても格好よく、改めてリスペクトの気持ちでいっぱいになりました。

少年の力強い足取りに導かれ、私たちは無事に丘の頂上へと到着しました!
時刻は11時36分頃。出発が11時15分頃だったので、往路はおよそ20分でした。

少年は2頭の馬を押さえながら、私に「降りて」というジェスチャー。
馬から降りると、彼は続けて「景色の写真を撮ったら?」という感じの身振り手振りで勧めてくれたので、お言葉に甘えて、しばし広大なモンゴルの絶景を撮影する時間を満喫しました。

モンゴルの草原の丘の上からの景色
モンゴルの草原が奥まで続いてます

私が写真撮影に夢中になっている間、少年と馬たちは少し離れた場所で休憩を取ってました。
しばらくして何気なく彼らの方を振り返った瞬間、私は自分の目を疑いました。

(……え、何その体勢???)

そこには、想像を絶する「休憩スタイル」が展開されていたのです。

まず、少年が草原にうつむいて座ります。
すると、茶色い馬が少年の頭の上に自分の顎を乗せて休み始め、
さらに、その茶色い馬の頭の上に、黒い馬が自分の顎を乗せて休んでいる……!!

休憩するモンゴルの乗馬ガイドと2頭の馬
不思議な体勢で休むモンゴルの少年と馬たち

「……休憩のピラミッド???」

言葉が通じないどころか、種族さえ違う少年と馬たちが、互いの体を物理的に預け合って、完璧なバランスでくつろいでいるのです。

(少年が一番下でキツくないのかな……いや、でも馬たちもリラックスしてるし……)

モンゴルの遊牧民にとって、馬は単なる乗り物や家畜ではなく、本当に家族であり、パートナーであり、一体となった存在なのだということを、この「衝撃のほっこり写真」が一瞬で証明してくれた気がします。


黒馬へのチェンジと、草原に現れた「リアル楊端和(ようたんわ)」

丘の頂上での「休憩ピラミッド」に癒やされたあと、いよいよ復路のスタートです。
ここで少年ガイドから、「帰りはこっちに乗って」というジェスチャー。なんと行きに乗っていた茶色の馬から、もう一頭の黒い馬へとチェンジになりました。

「パカラッ」「パカラッ」「パカラッ」

乗馬を始める前、「手綱を引けば止まる、左に引けば左に曲がる」といった操作説明をひと通り受けていたので、(あ、もしかして後半は手綱を自分で握って一人で自由に乗馬するのかな……?)なんて少し緊張をしていました。

……が、結局のところ最後まで彼に力強く引っ張られるスタイルでした(笑)。
まあ、先ほどの坂道ストライキや命綱離脱事件を思えば、これが一番安全で平和な選択です。

振り返ってみると、人生初の乗馬でしたが、自分でハンドリングする場面はほとんどなく、初心者でも安心して楽しめる内容でした。

そんな“完全ドナドナ状態”でパカラパカラと歩いていると、向こうから乗馬中の4人グループが颯爽と手綱をさばき、見事に馬を走らせながらやってくるのが見えました。聞こえてくる言葉からして韓国からの観光客のようです。

すれ違いざま、私は目を疑いました。

グループの先頭を走る女性1人が、なんと馬を自在に操りながら、手放しに近い状態でスマホを掲げ、後ろの仲間たちを疾走しながらパシャパシャと撮影しているではありませんか……!

(……え、凄すぎない!? 落ちないの!??)

あまりの颯爽とした佇まいと圧倒的な騎乗テクニック。後から振り返ってみると、あの女性はもしかすると……山界の王・楊端和(ようたんわ)だったのかもしれません。

(※意味がわからない方はAmazonプライム・ビデオで「キングダム」シリーズを観て下さい。※配信状況は変わることがあります)


ガイド少年の疑惑と、初乗馬で悟った「騎馬隊失格」

「パカラッ」「パカラッ」「パカラッ」

静かに馬に揺られながら、前を行くガイドの背中をぼんやり見つめていた、その時です。

「……はっ! まさか……もしかして!?」

私の中で、ある恐ろしい説が浮上しました。

もしかして彼は、少年なんかじゃなくて……「奇跡的な童顔を持った、オジサン」なのでは……!?

ここまで私は勝手に彼を「小学生くらいの少年」だと思い込み、その前提で感動したりリスペクトしたりしていました。しかし、よくよく考えてみてください。

「いくらモンゴルとはいえ、小学生をたった1人で言葉の通じない外国人を乗馬に連れて行くなんて仕事を、本当に任せられるだろうか……?」

……そう思い始めた瞬間、彼の佇まいが急に違って見えてきたのです。

(……いや、でもあの無邪気な空気感は少年だったような……いや、でもあの手慣れた手さばきは人生2周目レベルだったような……)

真実は闇の中ですが、謎の疑惑を抱えたまま、無事に宿へと戻ってきました。

ちなみに、彼が実際に何歳だったのかは、最後まで分からずじまいです。
そもそも言葉が通じないので聞きようがなかったのですが、仮に通じたとしても「あなた何歳ですか?」といきなり聞くのは、さすがに失礼かもしれません。
それに、もし本当に大人だったとしたら……「小学生だと思ってました!」なんて、口が裂けても言えません。
というわけで、彼の正体は永遠に謎のままです。ヽ(・ω・)/

時計を見ると12時ちょうど。11時15分頃に出発したので、約45分間の乗馬体験でした。
内訳は往路が約20分、丘の頂上での休憩と撮影タイムをはさんで、復路が約20分といったところ。あまり長すぎるとお尻も痛くなりそうですし、ちょうどいいくらいの時間だったのかもしれません。

なお、事前に宿からもらっていた案内では「約1〜2時間」とされていましたが、今回は私ひとりだけの貸切状態だったこともあって、サクサクとスムーズに進んだのかもしれません。 当日の人数やペースに合わせて柔軟に案内してくれるスタイルだと思うので、案内の時間はあくまで目安と考えておくとよさそうです。

そして、人生初の乗馬を終えた私が到達した、一つの結論――。

「私がキングダムの世界にいたら騎馬隊は100%不可能です」

戦うどころか、足は挟まれるわ、前の馬のウンコに怯えるわ、ロープが離れただけで「終わった」と絶望する始末です。戦場に出た瞬間に落馬して討ち取られる未来しか見えません。

というわけで、大変恐縮ですが……私は「河了貂(かりょうてん)」でお願いします。

(※こちらも意味がわからない方は、Amazonプライム・ビデオで『キングダム』をご覧ください。)


最後に……衝撃のネタバレ

さて、ここまで文中に何度も登場した「パカラッ」「パカラッ」という威勢の良い馬の足音。

……が、ここで一つ白状しておきます。

実際は、柔らかい草原なので「サクッ……サクッ……」という静かな音でした。(笑)

キングダム風の臨場感とテンションを演出するため、文章上で馬の足音を3割増し(当社比)でデカく表現していたことを、ここにお詫び申し上げます。

こうして、私の「キングダムごっこ」も兼ねた初の乗馬体験は無事に終了しました。


モンゴルの乗馬体験まとめ|料金・所要時間・初心者でも大丈夫?

ここまで散々ふざけてきたので、最後に実用的な情報をまとめておきます。すべて、私が実際に体験した範囲の内容です。

項目実際どうだったか
料金70,000₮(約3,300円)
所要時間約45分(11:15出発〜12:00帰着/往路約20分+丘での休憩+復路約20分)
ペース基本は歩くくらいのゆっくりしたペース。少しだけ駆け足になったのは、前の馬に追いつこうとしたときだけ。走ることはありませんでした
申し込み事前予約
ガイド同行あり。私の馬はロープで引いてもらう形で、自分で操作する場面はゼロ
言葉ガイドとは会話はありませんでした。ジェスチャーだけで問題なし
装備ヘルメット・プロテクターは着けていません。気になる方は予約時に確認を
服装半袖+UVカットパーカー+長ズボン。
荷物両手を空けたかったので部屋に置いていきました。スマホは片手で撮れましたが、落とすと草原では探すのが大変そうです
支払いその場での支払いはなし。チェックアウト時に宿泊費などとまとめてカードで一括払い
雨天時私が体験した日は快晴だったため、悪天候のときにどうなるかは確認していません。気になる方は予約時に宿へ確認を
※2026年7月時点の内容です。変更の可能性があります。円換算は、実際のカード請求から逆算した1₮≒0.047円で計算した目安です

結論としては、私が参加したKayak Campの乗馬体験は、乗馬経験ゼロでも参加できました。私の場合はガイドさんがロープで馬を引いてくれて、自分で馬を操作する場面はありませんでした。こちらは座って景色を見ているだけです。馬が坂道でストライキを起こしたり、ロープが手から離れたりというハプニングはありましたが、それも含めて良い思い出です。

ただ、ヘルメットもプロテクターもない状態でしたので、心配な方は事前に確認した方がいいと思います。

逆に「自分で手綱を握って草原を疾走したい!」というタイプの方には、少し物足りないかもしれません。そういう方は、予約時に「経験者向けのコースはあるか」を聞いてみるといいと思います。

初めてモンゴルで乗馬するなら、予約前に聞いておきたい5つのこと

私は何も確認しないまま当日を迎えましたが、以下の5つは事前に聞いておいた方いいかもしれません。

1. 乗馬が初めてでも参加できるか

2. ガイドが馬を引いてくれるか(自分で操作するのか、引かれるだけなのか)

3. ヘルメット等の貸し出しはあるか

4. 所要時間とコース

5. 雨天のときはどうなるか・キャンセルは可能か

この旅の全体の日程と費用はモンゴル旅行4泊5日まとめに公開しています。ちなみに馬つながりでいうと、この草原へ来る道中には世界最大級のチンギス・ハーン騎馬像にも立ち寄っています。

私は宿泊した施設のアクティビティとして乗馬をお願いしましたが、この方法だと「その宿が用意しているプランしか選べない」という制約があります。今回でいえば、所要時間もコースも先方任せでした。
「宿泊は別で手配して、乗馬だけ予約したい」という方や、「内容や時間を先に確認してから決めたい」という方は、現地ツアーの予約サイトの方が探しやすいと思います。

海外でのやり取りに不安があるなら、予約画面もカスタマーサポートも日本語で完結するベルトラが安心です。

👉 【日本語で安心】モンゴルのゲル泊・乗馬ツアーをVELTRAで探してみる

プラン数の豊富さで選びたい方にはGetYourGuide(ゲットユアガイド)も便利です。

👉 【プラン多数】GetYourGuideでモンゴルの現地ツアーをチェックしてみる

ちなみに私が泊まったのは、ツォンジン・ボルドグの「Kayak Camp」です。

Kayak Camp(Agoda)を見てみる

各予約サイトの違いは海外旅行の現地ツアー予約サイト比較にまとめています。


時計は12時過ぎ。
13時からは昼食の予定なので、少し部屋のベッドで休憩してから、レストラン棟へと向かうことにします。

※料金・制度等は2026年7月(著者の訪問時点)の情報です。訪問前に最新情報をご確認ください。

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