※この記事は連載「星空と夜景を追うひとり旅。ときどきナーダム。」の第13話です。前回の記事はこちら。
- 21:20。まるで試験前のような緊張感
- 使用したカメラはCanon(キヤノン)EOS R10。APS-C機でも星空は撮れる?
- ちょっと外の様子を見に……で遭遇した「大自然の罠」
- 想像を絶する極寒!慌ててゲルへ緊急避難
- モンゴルの夜は想像以上の寒さ!ユニクロの超極暖で防寒対策
- 22:30。冷えたビールを受け取り、暗闇を待つ
- 22:40。ノックの音と「ファイヤー?」
- 豪快すぎる!薪ストーブの火おこし
- 煙突から立ち上る煙と、頭上に広がる満天の星
- 静寂の中での思考と「過去の自分に感謝した瞬間」
- いよいよ撮影開始!「ユニクロありがとう!」
- 淡い期待を胸に……憧れの「天の川」撮影へ挑戦!
- 天体アプリ「Stellarium」を頼りに天の川を探して
- 初心者向けの機材でも、星空と天の川は撮れました
- 最高の1日を締めくくる、夜のひとり乾杯
- 明日のことなんて「まっいっか!」で眠る夜
- 同じ星空を見たい方へ
21:20。まるで試験前のような緊張感
21時20分頃。
私はゲルのベッドの上に横になりながら、カメラのバッテリー充電を確認したり、スマホで星空撮影のことを調べたり手順や設定をもう一度予習したりしていました。
日本での練習は不完全燃焼に終わり、13万円かけた機材を携えて挑む「星空撮影」本番の夜。
「本当にちゃんと撮れるだろうか……」
頭の中で何度も手順をおさらいしていると、なんだかまるで大切なテストの直前のような気分になってきて、じわじわと緊張感がこみ上げてきました。
使用したカメラはCanon(キヤノン)EOS R10。APS-C機でも星空は撮れる?
その緊張の相棒となったカメラについて、先に少しだけ紹介させてください。
今回の星空撮影で使用したのは、Canon(キヤノン)のミラーレス一眼「EOS R10」です。
2022年7月発売の機種で、私が確認した記事執筆時点(2026年8月)の価格は、ボディ単体で12万円台〜、レンズがセットになったキットで15万円前後でした。ミラーレスの中では手が届きやすい価格帯で、初心者やこれからカメラを始める人に人気があるようです。
私はこのカメラを2023年に「RF-S18-45 IS STM レンズキットEOS R10」というレンズがセットになったのを135,726円で購入しました。
今の価格は当時より上がってるので、「もう少し待てば安くなるかな」と思って買い控えていたら、逆に高くなっていたパターンです。あの時に思い切って買っておいてよかったです。
しかし、実際はほとんど使用する機会がなくて、「勢いで高い買い物をしてしまった!」「スマホのカメラで良かったのでは?」と後悔することもありました。
そんな出番の少なかったカメラですが、今回のモンゴル旅行、特にこの星空撮影のためだけに、本気で連れて行くことにしました。
一応、カメラに詳しくない方向けに少し補足すると、カメラには「センサー」と呼ばれる光を取り込む部分の大きさに種類があり、大きい順に「フルサイズ」「APS-C」「マイクロフォーサーズ」などに分かれていて、センサーが大きいほど暗い場所での撮影に強く、星空のような暗所での撮影には基本的に有利とされています。
私のEOS R10は、その中では「APS-C」というワンランク小さいセンサーサイズを採用した機種で、いわゆる高級機である「フルサイズ」カメラと比べると星空撮影においては不利な面もあるようです。
ちなみに、こういったカメラ・レンズ・三脚などの撮影機材をひとまとめにして旅行に持っていくと、それなりの重量になります。
特にLCC(格安航空会社)を利用する場合は、機内持ち込みや預け荷物の重量制限が通常の航空会社より厳しいことが多いので、事前に自分が利用する航空会社の規定を確認しておくことをおすすめします。
この機材と、初心者なりの拙い腕前で、果たしてどこまで星空を写し取れるのか——正直、撮る前から少し不安もありました。
……と、機材の話が長くなりました。
時計を気にしながらゲルの中でソワソワしていた、21時台の話に戻します。
ちょっと外の様子を見に……で遭遇した「大自然の罠」
「とりあえず、ちょっと今の空の様子だけでも見てみようかな」
そう思い立ち、ゲルの外へ出てみました。
見上げると空はまだうっすらと明るく、「星が見えてくるまでは、あと1時間くらいかな」という雰囲気です。
ふと足元に目をやると、ゲルの近くに綺麗で小さな花が咲いているのが見えました。
「本番前のウォーミングアップがてら、ちょっと写真を撮ってみよう」
軽い気持ちで花の方へ歩き始め、カメラを構えた……その瞬間でした。
「あれっ!何か、めっちゃ寒い気がする!」
想像を絶する極寒!慌ててゲルへ緊急避難
この時の私は、夜がこんなに寒くなるとは思っていなかったので、昼間と同じ格好のまま外に出ていたのです。
びっくりするくらいの激しい寒さに襲われ、急に小刻みに身体が震え出しました。
「やばい!」焦りました。こんなに寒くなるなんて思ってもみませんでした。
とにかく震えたまま必死で花の写真を撮り、すぐにゲル内へと避難しました。
ゲルに駆け込んだものの、「これは寒すぎて写真どころではないのでは?」と一気に不安が押し寄せてきます。

モンゴルの夜は想像以上の寒さ!ユニクロの超極暖で防寒対策
「このままじゃ絶対に無理だ……!」
焦った私は、持ってきた服をとにかく重ね着し始めました。
- 【上半身】持ってきた服を重ね着 + ライトダウンジャケット
- 【下半身】ユニクロの超極暖ヒートテック + その上からボトムス
上も下もガッツリと着込み、なんとか寒さに耐えられる防寒スタイルが完成しました。
身体も少しずつ温まり、これでようやくひと安心。
ちなみにライトダウンは、もともと「星空を見るとき夜は寒いかもしれない」と思って、日本から持ってきたものでした。まさか初日の、しかもまだ星も出ていない時間から出番が来るとは思っていませんでした。
7月のモンゴルは「昼は夏、夜は冬」だと思っておいてください
この日の昼間は、半袖でも過ごせるくらいの陽気でした。それが夜には、震えが止まらなくなるレベルまで冷え込みます。
モンゴルの夏は昼と夜の寒暖差がとても大きく、少なくとも私が過ごした7月中旬の草原では、夜に防寒着なしで外に立っているのは無理でした。「昼が暖かかったから夜も平気だろう」は、まったく通用しません。
星空目的で草原に泊まるなら、この3つは持って行った方がいいと思います。
・ライトダウン……かさばらないのに効果は絶大。夏でも必須だと思ってください
・厚手のインナー……私はユニクロの超極暖。下半身の冷えを止められたのが本当に大きかったです
・ヘッドライト……街灯のない草原では、手元も足元も真っ暗です(詳しくは後述します)
持ち物まわりは海外旅行の持ち物リストにもまとめています。
22:30。冷えたビールを受け取り、暗闇を待つ
22時を過ぎても、空にはまだ少し明るさが残っていました。
「本格的な星空が見られるのは、やっぱり23時くらいからかなぁ」
そう思いながら、昼間にスタッフへお願いして厨房の冷蔵庫で冷やしてもらっていた缶ビールのことをスタッフに話したら、22:30頃にゲルまで持ってきてくれました。
このビールは、ウランバートルを出発する前にコンビニ(CU)で買っておいたモンゴルのビール2本です(第10話の買い出しで確保していたもの)。草原の宿には売店もコンビニもないので、あの時に買っておいてよかったです。
「後で星空を見終わったら、これで乾杯しよう」と、ゲルの外に置いておきました。外が結構寒かったので、室内に置いておくよりもぬるくならない(冷えたまま保てる)と思ったからです。
そして、ゲルの中で静かにその時を待つことにしました。
22:40。ノックの音と「ファイヤー?」
すると、22時40分頃。
突然、ゲルのドアが「トントン」とノックされました。
ドアを開けると、男性スタッフの方が立っていて、開口一番「ファイヤー?」と聞いてきます。
一瞬、「ん? ファイヤー……?」と何のことかわからず頭にハテナが浮かびましたが、男性がゲルの中央に設置されている薪ストーブを指さしているのを見てピンときました。
「あ、ストーブに火をつけるか?って聞いてくれてるんだ!」
外の激しい寒さを思い出し、迷わず「YES!」と答えました。
豪快すぎる!薪ストーブの火おこし
返事を聞くと男性は一度どこかへ立ち去り、数分後、薪のような木材をいくつか抱えて戻ってきました。
木材をストーブの中に手際よくセットすると、おもむろに取り出したのは……なんとスプレー缶タイプのガスバーナー!

ゴーッ!と勢いよく火を噴射しながら、しばらく直接木材を炙り続けて強引に火をつけました。なかなか豪快な火おこしスタイルです(笑)。
火が無事についたのを確認すると、男性スタッフの方は立ち去っていきました。
今思うと、あの日は、この時期にしては本当に冷え込みが厳しかったんだと思います。正確な気温は測っていませんが、体感的には間違いなく10度以下。わざわざ現地のスタッフさんがストーブに火をつけに来てくれるくらいなので、それなりに寒い夜だったのでしょう。ちなみに翌日はそこまで冷え込むことはありませんでした。
つまり「火をつけてもらえるかどうか」は日によって変わるということでもあります。寒ければ自分から頼んでもいいと思いますが、そもそも寒さに耐えられる服を持っていくのがいちばん確実です。
煙突から立ち上る煙と、頭上に広がる満天の星
外に出てゲルを振り返ってみると、屋根から伸びる煙突からモクモクと煙が立ち上っていました。
そして、ふと見上げたその時――。
そこには、息をのむような満天の星空が広がっていました。
22:50頃、いつの間にか空は肉眼では真っ暗と感じるほど暗くなり、無数の星々が空いっぱいに輝いていました。

ちなみに、この日を選んだのには理由がありました。事前に調べたところ、月明かりがない日ほど星空がよく見えるとのことで、「新月」の日に合わせて旅の計画を組んでいたのです。
この夜はまさに新月当日でした。狙って合わせたとはいえ、ドンピシャで新月の夜に草原にいられたのは、我ながらよくやったと思います。
さらに雲ひとつない絶好のコンディションとなり、まさに運にも恵まれました。
モンゴルの夏の夜、何時から星が見える?(実測タイムライン)
「何時に外へ出ればいいのか」は、これから行く方がいちばん困るところだと思うので、この夜の実際の流れを残しておきます。
| 時刻 | 空の様子・出来事 |
|---|---|
| 21:20頃 | ゲルで準備。外はまだうっすら明るい |
| 21:30頃 | 様子を見に外へ。「あと1時間くらいかな」という明るさ/ここで極寒の洗礼を受ける |
| 22:00過ぎ | まだ少し明るさが残っている |
| 22:40頃 | スタッフが薪ストーブに火をつけに来てくれる |
| 22:50頃 | 肉眼ではほぼ暗闇に。ここから本格的に撮影開始 |
| 23:50頃 | 最後の1枚。撮影時間は約1時間でした |
ポイントは、暗くなるのが日本よりずっと遅いということです。夕食のあとに「そろそろかな」と外へ出ても、まだ全然明るい。逆に言えば、翌朝に早い予定を入れていると、そこそこの寝不足を覚悟することになります。私は翌朝の朝食が9時だったので、心置きなく夜更かしできました。
ちなみに、私は22:50をすっかり「完全な夜」だと思い込んでいたのですが、あとから調べたところ、ウランバートル周辺の緯度では、7月中旬に空が本当に真っ暗になるのは23時半頃からのようです。つまり私が撮り始めた時間は、まだ空にごくわずかな明るさが残っていた計算になります。
静寂の中での思考と「過去の自分に感謝した瞬間」
静寂が支配する世界で、ただじっと、自分の目で満天の星空を見つめていました。
時間にして、ほんの2〜3分ほどだったかもしれません。けれどその短い静寂の中で、頭の中には溢れんばかりの思いと感情が波のように押し寄せていました。
「普通に過ごしていたら一生来ることがなかったかもしれない異国の地で、今、自分はたった1人でこの星空を見上げている——」
どこか夢の中にいるような不思議な感覚と同時に、奇跡的にお天気にも恵まれ、思い描いていた通りの満天の星空に出会えた自分の運の良さに、深く胸を打たれていました。
ここに至るまでの道のりは、決して不安が無かったわけではありません。
「うまく写真が撮れるだろうか」という心配や、「機材に13万円もかけたのは早まったかもしれない」という葛藤。
事前勉強や準備の苦労、日本での不完全燃焼だった練習など、それらすべてを乗り越えて巡り会えたこの景色は、「ここまで来て、本当に良かった」と心の底から思えました。
過去の自分が、未来の自分へと送ったプレゼントをしっかり受け取ることができたような、そんな感覚でした。
「やっぱり旅って、すごいな」
圧倒的な星空の美しさに感動したのはもちろんなのですが、それとはまた違う、何か特別な「達成感」のようなものも混ざっていました。ここまで大きなトラブルもなく、旅が良い感じに進みすぎていることも影響しているのかもしれません。
言葉には上手く表せない、感謝なのか、感動なのか、それとも何なのかも分からないような、ただただ幸せな気持ち。
でも、ひとつだけはっきり言えることがありました。
「行動した自分、ありがとう!!」
いよいよ撮影開始!「ユニクロありがとう!」
ほんの数分でしたが、自分の目でしっかりと星空を見届けたあと、ゲル内に戻り、既に三脚にセットしておいたカメラを持って撮影の準備に取りかかります。
ここで大活躍したのが、日本で買っておいたヘッドライト(ペツルのアクティックコア)でした。安いヘッドライトもたくさんありましたが、今後も使うことがあるのではと思い、結構高かったですが性能がいいのを購入しました。
街灯もない草原の夜は、本当に何も見えません。カメラの操作も三脚の脚の調整も、両手が使えないと話にならないので、頭に付けるタイプにしておいて正解でした。
スマホのライトでも代用はできますが、片手が塞がるうえ、置いた瞬間に足元が真っ暗になります。星空撮影をするなら、ヘッドライトはケチらない方がいいと思います。
これは星空を撮らない方にも言えることで、街灯のないゲル泊では、夜に別棟のバスルームへ行くだけでもヘッドライトがあるとかなり違います。
見上げる空はどこを切り取っても満天の星空。まずは試しに、滞在しているゲルの前で何枚かシャッターを切ってみました。
最初の数枚の撮影後、カメラの液晶画面で確認してみると……うん、ちゃんと星空が撮れてるっぽい!

「っぽい」と言ったのは、カメラの液晶画面があまり大きくなく、そこまで鮮明には見えないためです。画面上ではしっかり写っているように見えるものの、「実際に帰国してからパソコンや大きな画面で見たら、実はピントがズレてたりブレてたりしないかな……?」という不安も、現場では少し感じていました。
そして気づけば、数時間前にあまりの極寒に震えていたのが嘘のように、今は暑くも寒くもない快適な状態。
ライトダウンジャケットを着ていたのもありますが、今回最も持ってきて良かったと痛感したのがユニクロの「超極暖」でした。これのおかげで下半身の冷えが完全にシャットアウトされています。
心の中で「ユニクロありがとう……!」と深く深く感謝しながら、私は夢中で撮影を続けたのでした。

ちなみに、写真に線のように写り込んでいるものを私は全部「流れ星」だと思って喜んでいたのですが、7月中旬は大きな流星群のピーク時期ではないようなので、人工衛星がかなり混ざっていた可能性もありそうです。
まあ、その瞬間の私は全部流れ星だと思ってたので、それはそれで良かったことにします(笑)。
淡い期待を胸に……憧れの「天の川」撮影へ挑戦!
ある程度星空の写真を撮り終えたあと、実はもう一つだけ挑戦してみたいことがありました。
カメラ初心者の私が口に出すのも大変恐縮なのですが、雑誌やネットで星空撮影について調べているうちに、すっかり魅了されてしまっていた「天の川」の撮影です。
┐(´д`)┌ 「冗談はよしこさん」
と周りから突っ込まれても仕方のない高望みですが、「モンゴルのこの夜空なら、もしかして撮れちゃったりするのでは……?」と淡い期待を抱いてしまっていたのです。
もちろん、日本にいた時の練習でも天の川撮影に挑戦しました。
そして、もちろん何も写っていませんでした(笑)。
だから簡単には撮れないことなんて重々分かっていたのです。
それでも、「モンゴル」という圧倒的な環境が、機材の性能や私の拙い撮影技術を軽々と凌駕してくれて、
「まあ仕方ないなぁ、今回だけ特別だよ? (´ー`*)」
なんて言いながら、奇跡的に画面に写り込んでくれるんじゃないか……。そんな都合の良い、僅かな期待を捨てきれずにいたのでした。
天体アプリ「Stellarium」を頼りに天の川を探して
流石にモンゴルとはいえ、肉眼で明確に「これが天の川だ!」と探すことはできませんでした。
一応、有名な天体アプリ「Star Walk 2」もインストールしていましたがイマイチ使いにくかったので、今回は「Stellarium」というアプリを使用することに。アプリで天の川の位置を調べ、南の方角へカメラを向けてシャッターを切ります。
結果的に、条件はほぼ完璧だったようです
帰国後に調べて知ったのですが、北半球では夏に天の川の明るい中心部(いて座の方向)が見やすくなり、7〜8月は天の川撮影の人気シーズンとされています。その中心部が見えるのは南の空。7月中旬なら、23時前後から深夜にかけて南の空をチェックしてみるのが良さそうです。
つまり、あの夜は①新月前後 ②7〜8月 ③南の空が開けた真っ暗な場所 ④晴れという、最高の条件がすべて奇跡的に揃った夜だったのです。
当時の私は一応「新月がいいらしい」となんとなく理解していた程度で、あとは星空アプリの指示通り「とにかく南に向けるんだっ!」とシャッターを切っていただけなのですが……結果的に正解だったようです。
撮影後、小さな液晶画面を覗き込んでみると――
「あれっ!? これ、もしかして天の川じゃない!?」
端の方に、薄っすらと雲のような、光の帯のようなものが写り込んでいました。

「天の川かもしれない……!」という猛烈な興奮をグッと抑え、慎重にカメラの位置を再調整してシャッターを切ります。
そして、撮れた写真を改めて確認してみると……
薄っすらではありますが、「これ絶対、天の川だっ!」と確信できる筋がしっかりと写っていました!
カメラ上級者から見れば、拙い天の川の写真かもしれません。絶好のロケーションを生かしきれていない、「もったいない」と言われてしまいそうな、しょぼい天の川かもしれません。けれど、初心者である私にとっては、まさに「奇跡の天の川」でした。

ちなみに、織姫(ベガ)と彦星(アルタイル)は、天の川を挟んだ両側に見える星なのだそうです。この写真のどこかに写っているのかもしれませんが、天文の知識がない私には、結局どれがどれだか分かりませんでした。
嬉しくなって、そこからは夢中で色々な設定を変えながら撮影しました。
シャッターを開けている時間を変えてみたり、明るさの設定をいじってみたり、角度や撮影場所を変えてみたり……。初心者なりに色々試してみました。文字にすると面倒くさそうに思える作業ですが、その時の私にとっては楽しくて仕方ありませんでした。
「あぁ、カメラにハマっていく人たちって、こういう感覚を味わっているのかなぁ」
そんなことを思いながら無我夢中でレンズを向け続け、最後の1枚を撮ったのが23:50頃。22:50に撮り始めてから、気づけば1時間ほどが経過していました。
雑誌に載ってるようなきれいな天の川は撮ることはできませんでしたが、自分にとっては価値のある写真となりました。
初心者向けの機材でも、星空と天の川は撮れました
撮影前の私は「フルサイズの高級機じゃないと星空は撮れないかも」というイメージを持っていました。
ですが結果として、APS-Cの初心者向けカメラ+明るいレンズ+三脚という、それほど大がかりではない組み合わせでも、今回のような星空や天の川の写真を撮ることができました。
正直に言うと、私の場合は機材のスペックよりも、光害の少ない場所・月明かりの少ない日・晴れた空という撮影条件の方が大きかったと感じています。真っ暗な草原と、新月と、雲のない夜。この3つが揃っていたから、初心者の私でも何かしら写ってくれたのだと思います。
初心者向けの機材でもここまで撮れるんだ、というのは今回大きな発見でした。
今回の星空撮影で使った、買ってよかったもの
レンズは、この旅のために新調したシグマの明るい単焦点レンズ(12mm F1.4)を使いました。星空撮影には「明るいレンズ」が要ると本に書かれていたのを信じての買い物でしたが、結果的にこれがいちばん効いたと思います。
三脚は「Ulanzi ZERO Y」。カーボン製で軽く、旅行に持っていっても、そこまで苦にならないサイズなのに、草原の風の中でもしっかり止まってくれました。
そして、地味にいちばん助けられたのがヘッドライトです。真っ暗な草原では、これがないとカメラの設定変更すらままなりません。夜中にトイレへ行くときにも手に持って懐中電灯のように使用してました。
参考までに、この夜に私が実際に持って行って使ったものを並べておきます。
| 持ち物 | 何に使ったか |
|---|---|
| カメラ(Canon EOS R10) | 星空・天の川の撮影に |
| 明るい広角レンズ | 暗い空を写すために新調しました |
| 三脚(Ulanzi ZERO Y) | 長い時間シャッターを開けるのに必須 |
| ヘッドライト | 真っ暗な中でのカメラ操作と移動に |
| ライトダウンジャケット | 夜の防寒。星空用に持参して大正解でした |
| 厚手のインナー(超極暖) | 下半身の冷え対策。これがいちばん効きました |
ちなみに、この翌日の夜(モンゴル最後の夜)にも、もう一度星空に挑戦しています。その話は【星空と夜景⑯】人生最高の星空。新月の大草原で天の川を撮ったモンゴル最後の夜に書きました。
最高の1日を締めくくる、夜のひとり乾杯
存分に撮影を満喫して大満足した私は、冷えた身体を休めるべくゲルへと戻りました。
そして、外に置いておいた、まだ冷えた缶ビールを開けて静かに1人で乾杯!
この日飲んだのは、モンゴルのビール2本。「Боргио(ボルギオ)」と「Алтан Говь(アルタンゴビ)」です。


ボルギオの缶には「SINCE 1927」と書かれていました。調べてみると、1927年から続く老舗のブランドとされているようです。アルタンゴビは英語だと「Golden Gobi」で、ラベルにふたこぶラクダが描かれているのが特徴。モンゴルでは定番中の定番の銘柄なのだそうです。
どちらも、コンビニで適当に「見た目が良さそう」という理由だけで選んだのですが、結果的にモンゴルらしい2本を引き当てていたようです。
「あぁ〜、本当にいい日だな〜」
「楽しかったなぁ~」
一口飲むごとに、じわ〜っと身体に喜びが染み渡っていきます。
もしかすると帰国後にパソコンの大きな画面で見た時、「思ったより綺麗に撮れてない……」なんて現実を突きつけられる不安もゼロではありませんでした。
ですが、この瞬間はそんな不安すらどうでもよくなるくらい、心から満足できた最高の1日となりました。
写真撮影という行動自体を楽しむことができました。
明日のことなんて「まっいっか!」で眠る夜
明日の朝食時間は9時と少し遅めの朝食です。時間的にも今夜は十分な時間ぐっすり眠れそうです。
そういえば……と、ビールを飲みながらふと思い出しました。
「事前に乗馬の予約をしたつもりだけど、スタッフから何も言われてなかったな。明日は一体何時から乗馬なんだろう? もしかして忘れられてる……?」
一瞬、頭に不安がよぎりましたが、今日の最高の余韻がすべてを包み込んでくれます。
「……まあ、いっか!」
細かいことは明日考えればいいや。せっかくの最高な夜なんだから、今はただこのいい気分のまま浸っていたい。
薪ストーブはすでに消えていましたが、余熱と部屋の暖かさ、そしてしっかり重ね着した防寒着のおかげで寒さを感じることもなくベッドに潜り込みました。
大満足の1日に静かに幕を下ろし、大草原の静寂の中、驚くほどあっさりと深い眠りへと落ちていったのでした。

同じ星空を見たい方へ
この夜の星空は、特別な展望台でも観測所でもなく、ただ泊まっていたゲルの前で見上げただけのものです。それくらい、モンゴルの草原の夜空は最初から完成しています。
私が泊まったのはツォンジン・ボルドグの「Kayak Camp」でした。設備やお値段は第12話に、旅全体の日程と費用はモンゴル旅行4泊5日まとめに書いています。
ただ、草原の宿は自力で行くのも、送迎や食事を手配するのも、それなりに手間がかかります(私は宿からの返信が来なくて、出発前に心配で夜しか眠れませんでした。その顛末は第10話に書いています)。
「手配で消耗せず、星空だけを見に行きたい」という方は、送迎・宿泊・食事がセットになった現地ツアーを使う手もあります。海外でのやり取りに不安があるなら、予約画面もカスタマーサポートも日本語で完結するベルトラが安心です。
👉 【日本語で安心】モンゴルのゲル泊ツアーをVELTRAで探してみる
プラン数の豊富さで選びたい方にはGetYourGuide(ゲットユアガイド)も便利です。
各予約サイトの違いは海外旅行の現地ツアー予約サイト比較にまとめています。
※価格・気温・条件等は2026年7〜8月時点の情報です。訪問前に最新情報をご確認ください。
前回の記事は→【星空と夜景⑫】Kayak Camp到着|モンゴルのゲル初体験レビュー(設備・食事・Wi-Fi)
次の記事は→【星空と夜景⑭】モンゴルで人生初の乗馬体験|ガイドはまさかの少年、初心者でも安心の草原ツアー


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