※この記事は連載『不安だらけのエジプトひとり旅』の第50話(最終話)です。
前回の記事は↓
【エジプト旅行㊾】帰路編|ドバイ観光|ブルジュ・ハリファ148階の夜景とラウンジのリアル体験
15日間。客引きをかわし、暗いピラミッドの中を這い、サッカラ帰りには値段交渉で冷や汗をかき、アブダビでは楽天カードに突然見放されました。
数々のトラブルを、私はなんとか乗り越えてきた——つもりでした。
でも、エジプトひとり旅のラスボスは、ピラミッドでも詐欺師でもなかったんです。最後に立ちはだかったのは、自分の喉と、腸。
これは、世界遺産より自分の内臓と格闘することになった、情けなくも平和な「帰り道」の記録です。最後までお付き合いください。
第一の敵は「喉」。さらばドバイ
爆広のスイートルームで短い休息をとり、朝早くにドバイにある「カールトン ダウンタウン ホテル」をチェックアウト。地下鉄のFinancial Centre駅から電車に乗り、まずはアブダビ行きのバスが出る「イブン・バトゥータ(Ibn Battuta)」バスターミナルへと向かいます。

ところが、ここで第一の刺客が現れます。時折、コンコンと乾いた咳が出るようになったのです。喉や肺が、エジプトの乾燥した空気か、砂漠の細かな砂にやられてしまったのかもしれません。怪我も病気もなくここまで乗り切り、「あとは帰るだけ」と気が緩みかけていたそのときでした。旅の最後に待っていたのは、まさかの体調不良です。
バスの出発まで少し時間があったので、ターミナル内の薬局へ駆け込みました。スマホの翻訳画面を見せながら「喉がおかしくて咳が出る」と伝えると、薬剤師さんが喉に直接吹きかけるスプレー薬を出してくれました。シュッと一吹き。英語が話せなくても、翻訳アプリさえあればこうして薬まで買える——この旅で何度も助けられた翻訳アプリのありがたさを、最後にもう一度かみしめます。なんとか咳を鎮め、アブダビ行きのバスに乗り込みました。

ちなみに、ドバイのイブン・バトゥータ・バスターミナルからアブダビ方面へは公共バスで移動できて、料金もかなり安く済みます。エティハド航空を使わない人でも、ドバイとアブダビを安く行き来したいときに使いやすい移動手段です。
つかの間の休戦。アブダビ「Pearl Lounge」
バスに揺られること約1時間半。10:30頃、アブダビ国際空港へ戻ってきました。昨日エジプトから降り立ったばかりのこの場所が、今度は日本への出発点です。
📖 豆知識
アブダビの空港は、2023年のターミナルA開業にあわせて正式名称が「ザイード国際空港」に変わりました。エティハド航空のハブ(拠点)空港で、ヨーロッパ・中東・アフリカ方面への乗り継ぎ拠点になっています。

チェックインと出国審査をスムーズに終え、向かったのは旅の締めくくりにふさわしい場所。ここで最強の旅アイテム「プライオリティパス」の出番です。新ターミナルAにある「Pearl Lounge(パール・ラウンジ)」へ。咳に追われた朝から一転、ここからはつかの間の休戦タイムです。
💳 プライオリティパスがあると空港ラウンジが無料に
世界1,700カ所以上の空港ラウンジを利用できるプライオリティパスは、楽天プレミアムカードに付帯しています。海外旅行の多い方には、長距離移動の強い味方です。
※2025年1月以降、楽天プレミアムカードでの無料利用は年5回まで(6回目以降は有料、1回あたり約35ドル・記事執筆時点)に変更され、会員証も物理カードからスマホアプリのデジタル会員証(QR)に切り替わりました。私が利用した2024年当時は、回数無制限で使えました。カードの選び方は海外旅行のクレジットカードはこの2枚でOKにまとめています。

アブダビ空港の最新ターミナルにあるPearl Loungeは、旅の疲れを癒やすのに最高の空間でした。
📖 Pearl Loungeのちょっとした情報
Pearl Loungeは、アブダビ空港でプライオリティパスで利用できるラウンジの一つです。時間帯によっては混雑することもあるようですが、私が利用した午前中は比較的空いていて快適に過ごせました。滞在時間やシャワー利用の条件は変更される場合があるため、利用前に最新情報を確認しておくと安心です。

料理のラインナップも充実。焼きたてのデニッシュやクロワッサンに、彩り豊かなフレッシュフルーツを添えて、豪華なブレックファストを楽しみました。広々としたソファに深く腰掛け、温かいコーヒーをゆっくり味わう。洗練されたインテリアと開放感のある吹き抜けを眺めながらのこの時間は、次のフライトへの何よりのエネルギーチャージになりました。


3万円切り。エティハド航空の破格フライト
休戦タイムを終え、いよいよエティハド航空でタイ・バンコクのスワンナプーム空港へ。機内食も楽しみのひとつでした。メインはもちろん、添えられたムースのようなデザートまで絶品で、疲れた体に甘さが染み渡ります。


ここで、今回の航空券の話を少しだけ。実はカイロからバンコクまでの全行程をTrip.comで予約して、29,710円でした。エティハド航空でこの長距離を移動して3万円切り。冷静に考えても、安すぎませんか?前日のドバイのUber代(1.4万円)と比べると、飛行機のコスパの異常さが際立ちます。

私なりの格安航空券を探すコツは、目的地までを通しで検索するだけでなく、途中の都市で区切って別々に検索してみることです。今回も「カイロ→日本」より、「カイロ→バンコク」と「バンコク→日本」に分けた方が安くなりました。必ず安くなるわけではありませんが、思わぬ掘り出し物が見つかることもあります。
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喉の調子は相変わらずでしたが、お得すぎるフライトとバンコクの熱気に包まれ、旅の最終章が幕を開けました。……このときの私は、第二の刺客がすぐそこまで来ていることに、まだ気づいていません。
深夜0時半のバンコク。タクシーより「Grab」が正解
スワンナプーム空港に着いたのは、深夜0時半すぎ。この時間になると、空港連絡電車のエアポート・レール・リンク(ARL)はもう運行を終えています。深夜着あるあるの「足がない」問題です。

そんなときの正解が、配車アプリの「Grab(グラブ)」。バンコクのタクシーはボッタクリ報告も多く、特に深夜は不安ですが、Grabなら行き先をアプリで指定でき、料金も事前に提示されるので、不当な請求トラブルを避けやすくなります。スワンナプーム空港にはGrab専用の乗り場があるので、そこからスムーズに乗れました(海外で役立つアプリまとめはこちら)。

初日の宿は「シャワーを浴びて寝るだけ」と割り切り、スクンビットの「City Lodge Bangkok(シティ ロッジ バンコク)」へ。1泊4,286円と格安です。正直なところ設備はかなり古いですが、駅も近くて立地は良好。「とにかく寝るだけ・立地重視」と割り切れる人には、コスパは悪くないと思います。古い宿が苦手な人は無理しないほうがいいですが、私は満足でした。


バンコクには立地が良くてコスパの高いホテルが他にもたくさんあります。予算や好みに合わせて探してみてください。
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反乱前夜。名店「ピーオー」の濃厚トムヤムクン
翌日はチェックアウトギリギリまで体力を回復させ、12時前に出発。バンコクで一番楽しみにしていた一皿を求めて、ラチャテウィー地区の名店「ピーオー・トムヤムクンヌードル(P’Aor Tom Yum Kung Noodles / ร้านพี่อ้อ)」へ向かいます。

ここはバンコクでも屈指の人気を誇るトムヤムクンヌードルの専門店。看板メニューは、大きな川エビ(手長エビ)がドンと鎮座する濃厚なトムヤムクンスープの麺です。
📍 ピーオー(P’Aor)店舗メモ
場所:ラチャテウィー〜プラトゥーナーム寄りのエリア。看板メニューは、手長エビ(川エビ)がドンと乗った濃厚なトムヤムクン麺です。人気店なので、時間帯によっては行列や相席になることもあるようです。
価格は、通常のトムヤムクン麺なら1杯50〜100バーツ前後(おおよそ250〜500円)が中心のようですが、大きな手長エビやロブスターが入った特大サイズは700バーツ以上と一気に上がるようです(時期により変動あり)。
📍 場所はこちら:ピーオー・トムヤムクンヌードル(Google マップ)

一口スープを飲むと、海老の脳みそのコクとハーブの香りが口いっぱいに広がり、酸味と辛味のバランスが絶妙!これまで食べたトムヤムクンの中でもトップクラスの濃厚さで、一度は食べる価値のある一杯でした。ちなみに値段は覚えていませんが、そんなに高くなかった記憶です。現金で払ったので、カードが使えるかは不明です。
ただ、この頃の私は、ある小さな異変を抱えていました。
実は、お腹の小さな違和感が、この日の朝から始まっていました。最初に頭をよぎった容疑者は、エジプトでタクシー運転手からもらった、あの謎の果物。……でも、口にしたのは2日も前のこと。2日も経ってから来る?という気もして、犯人ははっきりしません。この時点ではまだ普通に食べられたので、ピーオーが旅で最後の「まともな食事」になるとは、思ってもみませんでした。
最終ボス「腸」。バイヨークの夜景と、見つめ続けた天井
絶品ヌードルでお腹を満たしたあとは、これから2泊する旅のメイン宿、「バイヨーク スカイ ホテル(Baiyoke Sky Hotel)」へ。宿泊費は2泊で22,034円。バンコクの物価からするとなかなかの贅沢ですが、どうしてもここの展望台から夜景を見たくて奮発しました。


このホテルは地上88階建て、高さ約304m。近くで見ると、その威容は圧倒的です。そして宿泊者の最大の特典は、84階の「回転式屋外展望デッキ」に無料で入れること。夜景目当てでこのホテルを選んだ私にとっては、これがすべてでした。
📖 バイヨーク・タワーの豆知識
1997年に完成したバイヨーク・タワーII(17階より上がバイヨーク スカイ ホテル)は、長らくタイで最も高いビルとして知られていました。その後、キングパワー・マハナコン(約314m)など、より高いビルが登場しましたが、約304mの高さは今なおバンコクを代表するランドマークの一つです。宿泊者は展望デッキを無料で利用でき、84階には回転式のデッキがあります(利用できるフロアや条件は宿泊プラン・時期によって異なる場合があります)。宿泊しない場合も、展望台チケットを購入すれば入場できます。

夕方、84階の回転デッキへ。ぐるりと360度に広がるバンコクの夜景は、ドバイの澄んだ夜景とはまるで別物でした。熱気と混沌が溶け合った光の海に、しばし見惚れます。夜景目的で泊まりたいという人には、本当におすすめできるホテルです。

……が、優雅に夜景に浸れたのは、ここまででした。
展望台にいる間は何も食べていなかったから平和だっただけ。朝からくすぶっていた違和感が、夜になって本格的に牙をむいたのです。何かを口にすると、即・異変。それでも空腹には勝てず、近くの屋台でケバブを一本買って食べたところ、案の定すぐに反応が出る状態に……。
こうして、せっかくの夜景ホテルで私が一番長く眺めることになったのは、バンコクの摩天楼ではなく自室の天井でした。潔癖な私が、「すぐトイレに行ける自分の部屋」のありがたみを人生で一番かみしめた夜です。エジプトの詐欺師より、暗いピラミッドより、自分の腸が手強い。誰が予想したでしょうか。

📍 場所はこちら:バイヨーク スカイ ホテル(Google マップ)
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撤退戦。静養と、タイののど飴
翌日も、咳とお腹のデリケートな状態は平行線。もともとバンコクでは予定を詰め込まず、のんびり過ごすつもりだったので、この日は潔く無理をせず、ホテルで静養することにしました。攻めの観光は完全に放棄、完全なる撤退戦です。
ちなみに、結局この不調の原因が何だったのかは、旅が終わった今でも謎のままです。エジプトの疲れが一気に出たのか、乗り継ぎ続きで体が弱っていたのか、それともただ何かが合わなかっただけなのか。あの謎の果物が真犯人だったのかどうかも、藪の中です。旅って、最後までこういう「わからないこと」を残していくものなのかもしれません。
夜、少し体力が戻ったのを見計らって、徒歩圏内の屋台をそろりと散策。それでも万が一に備えて、食事はすぐトイレに行ける自室で取ることにして、結局コンビニの菓子パンで細々と済ませました。世界遺産を巡ってきた旅の最後が、コンビニの菓子パンとトイレの往復。これもまた、私らしい締めかもしれません。

喉の調子の救世主になってくれたのが、コンビニで買ったタイののど飴(Mybacin Zinc)。これを舐めると、不思議と咳が少しラクになる気がしました。2日目の夜も、展望台からバンコクの夜空を眺めながら、のど飴をなめる。地味ですが、これが私の最後の夜の過ごし方でした。

最終決戦前の儀式。そして帰国へ
帰国当日。朝4時起きで準備を整え、ドンムアン空港へ。周囲に迷惑をかけないよう、のど飴を相棒にチェックインを済ませ、国際線ターミナルの「Coral Lounge」で、旅の締めくくりとなるラウンジの時間を過ごしました。


そして、長時間フライトを前にした最大の懸念は、当然ながらお腹の「緊急事態」。機内でピンチが訪れるのだけは、何としても避けたい。そこで私は、食事は早めに切り上げて、搭乗前に空港のトイレで万全に腸内を整えるという、人生で一番真剣な「最終決戦前の儀式」を執り行ってから、飛行機に乗り込みました。ピラミッドを越え、詐欺師を越え、最後に越えるべき相手が自分の腸だったとは。
そんな不安を抱えながらも、私は日本への帰路につきました。
🧳 旅の最後に倒れないための、私からの置き土産
連載を締める前に、自分の体で学んだ「帰り道の教訓」を置いていきます。あなたの旅が、最後まで笑顔で終わりますように。
- 乾燥と砂を甘く見ない:エジプト〜ドバイは想像以上に乾きます。マスク+のど飴で喉を守るだけでだいぶ違うはず。時折フェイスカバーは使用しましたが、ほぼ無策だった私は、帰り道で見事にやられました。
- 旅程の最後に「何もしない日」を1日:私のバンコク2泊がまさにこれで、体調が崩れても旅程が崩壊せずに済みました。詰め込みすぎは、最後にツケが来ます。
- 帰国直後に予定を詰めない:乗り継ぎが多い旅では「予備日」があれば安心。もし私が、この咳と腹痛が良くならずに、このまま翌日に仕事や予定が詰まっていたら……と想像すると、今でもゾッとします。帰国後にも1日、余白があれば安心です。
- 常備薬は日本から持っていく:整腸剤・胃薬・解熱。現地の薬局でも買えますが、成分や用法が読めない不安があります。使い慣れた薬が一番安心(持ち物はエジプト旅行の持ち物ガイドに)。
- 長距離路線は区間を分けると安くなることも:私は「カイロ→日本」ではなく、「カイロ→バンコク」と「バンコク→日本」に分けて購入したことで、かなり費用を抑えられました。必ず安くなるとは限りませんが、航空券を探す際は途中都市で区切ったパターンも試してみる価値があります。
🇪🇬 旅の締めくくり:エジプト一人旅を振り返って
エジプトの古い建造物と砂の景色から始まり、ドバイの超近代的な摩天楼、そしてバンコクの熱気。改めて振り返ると、本当に濃い15日間でした。
タクシー運転手から謎の果物をプレゼントされ、サッカラ帰りの値段交渉バトルで冷や汗をかき、アブダビでは楽天カードが突然停止し、ブルジュ・ハリファでは3万円の「天空ぼっち修行」を敢行し、そして最後は消化器官がストライキを決行——まさにトラブルのフルコースのような旅でした。
でも、そんな想定外の出来事こそが、後になって一番語りたくなる「旅の醍醐味」なのだと、改めて感じています。順調すぎる旅は、たぶんこんなに長くは書けなかった。
近代的なビル群のすぐ先に、突如としてその巨大な姿を現したギザのピラミッド。数千年前からそこに在り続ける圧倒的な存在感には、言葉を失うほどの力がありました。サッカラの階段ピラミッド、砂埃の中で巡った数々の遺跡。乾いた空気の中で歴史の重みを肌で感じたあの時間は、何物にも代えがたい経験です。

人見知りで、ビビりで、英語も話せない。そんな私が、一人で異国の地に立ち、自分の足で歩き、たくさんの景色や出来事に出会って帰ってきました。今は、ほんの少しだけ強くなれた気がしています。私の「solo-trip-log.com」には、書ききれないほどの思い出と、次の旅へのエネルギーが刻まれました。

長い連載に最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
日常へと戻る寂しさを、次の旅への楽しみに変えて。
完
今回訪れた場所一覧
| スポット名 | 場所 |
|---|---|
| ピーオー・トムヤムクンヌードル | Googleマップで見る |
| バイヨーク スカイ ホテル | Googleマップで見る |
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今回の旅で使った予約サイト
▶ 航空券:Trip.comで最安値を見る
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この旅の全体像と費用はこちらにまとめています。
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