前回の記事は↓
【エジプト旅行㉗】ナイル川を望む絶景と二重構造の不思議|コム・オンボ神殿
ルクソールからチャーター車に揺られること約8時間。エドフとコム・オンボ、二つの遺跡を巡る充実した時間のあと、ようやく目的地のアスワンに到着しました。時刻は16時。しかし、ここからが「本当のアスワン体験」の始まりでした。
宿選びで迷った2つの選択肢
アスワンの宿を予約する際、最後まで2つの選択肢で迷っていました。
| 案A:市街地エリア | 案B:郊外エリア(今回選択) | |
|---|---|---|
| 立地 | アスワン駅に近い | 市街地から少し離れる |
| 利便性 | スーク・飲食店・タクシーが徒歩圏内 | 周辺に何もない |
| 環境 | 街の賑わいがある | ナイル川の景色・静かな星空 |
今回アスワンに来た最大の目的は、翌日訪れるアブシンベル神殿です。どうせ翌朝4時出発なら、市街地じゃなくてもいいかなと思い、最終的に郊外の宿を選びました。予約したのは「Endo Mando」というゲストハウスです。
「ホテル」ではなく「ゲストハウス」での洗礼
到着してまず驚いたのが、宿の場所の分かりにくさです。ベテランのドライバーさんですら道を迷うほどの細い路地の先。最終的には車が入れない場所で降りて、徒歩で向かいました。

入り口の壁に大きく書かれていたのは「GUEST HOUSE」の文字。ホテルだと思って予約したのですが、そこは非常にアットホームなゲストハウスでした。フロントらしき場所はなく、近くにいた人に尋ねると、どこからかオーナーらしき男性を連れてきてくれました。

宿泊客はどうやら私一人のようです。周りを見渡しても観光客の姿はなく、聞こえてくるのは地元の人たちの生活音だけ。一気に「エジプトの日常」の真ん中に放り込まれた気分です。
ヌビア文化が彩るカラフルな建物
建物は、目が覚めるほど鮮やかなパステルカラーに彩られていました。特に青が印象的で、ところどころにピンクや黄色の装飾が混じり、砂漠の景色の中にあって夢のように映えます。

これはヌビア文化に由来するスタイルです。Endo Mandoはアスワン東岸の郊外に位置するゲストハウスですが、建物のデザインはヌビアの伝統的なスタイルを取り入れた造りになっています。
💡 ヌビア人とは?
エジプト南部からスーダン北部にかけて暮らす民族で、アラブ人でもアフリカ人でもない独自の言語・文化を持ちます。1960年のアスワン・ハイダム建設によって故郷が水没の危機にさらされ、ナイル川沿いに強制移住を余儀なくされた歴史を持ちます。陽気でカラフルな色遣いを好む民族として知られており、青を基調とした鮮やかな壁画の家並みは「青の村」として観光客にも人気です。
砂漠の景色の中に現れるこのカラフルな街並みは、アスワンならではの光景でした。
シンプルな客室
私が泊まった部屋も、まさに「手作り」といった温かみのある内装でした。料金は2泊3日で9,264円。エジプトの宿泊費としては決して安くありません。

設備は最小限で、アメニティなし、シャワーを浴びるとトイレまで濡れる、いわゆる「エジプト標準仕様」のバスルームでした。とはいえ、こうした不便さもまた旅のリアリティ。贅沢な設備を求めてここに来たわけじゃないので、それはそれで構いませんでした。

ベランダからの絶景
しかしベランダに出た瞬間、すべての戸惑いは吹き飛びました。目の前に広がるのは、ナイル川の穏やかな流れ。無数のボートが係留され、ちょうど夕日が沈む時間帯で空がオレンジ色に染まっていました。

「ここを選んでよかった」
この絶景を独り占めできる贅沢。ナイル川を眺めながらぼんやりしていると、長い移動の疲れもすっと抜けていくようでした。こういう何もしない時間こそ、旅の中では意外と一番贅沢なのかもしれません。

配車アプリが使えない誤算
夕日を眺めたあと、近所を散策してみました。しかし驚くほど「何もない」ことに気づきます。市街地へ行こうとUberを起動しますが、まったくマッチングしません。中東でよく使われるCareemも試しましたが、こちらも全滅。
予約時はUberタクシーなどで簡単に市街地まで行けると思ってましたが誤算でした。
カイロ以外では配車アプリが使いにくいという話は聞いていましたが、ここまでとは思いませんでした。結局、市街地へ行くことは諦め、初日は部屋でゆっくり過ごすことにしました。
⚠️ アスワンで配車アプリを使う予定の方へ:UberもCareemもほぼ機能しません。市街地への移動は、ホテルや宿のオーナーに頼んでタクシーを手配してもらうか、徒歩・フェリーを利用するのが現実的です。
明朝4時、迎えは来るのか?
今回アスワンに来た最大の目的は、世界遺産アブシンベル神殿を訪れることです。アスワンからアブシンベルまでは約270〜300km、車で片道3〜4時間ほどかかります。砂漠のど真ん中を突っ走る長距離移動のため、ツアーの出発は朝4時前後が一般的。神殿に到着するのは日の出の頃になります。

翌朝4時に、Agodaで予約した送迎車が来る予定。しかし、この街外れのゲストハウスまで、本当に迎えに来てくれるのでしょうか。
迎えに来てくれるはずの業者にメールを送っても返信はなく、WhatsAppの連絡先もありません。「これまでもちゃんと来てくれたし、大丈夫だろう」——そう自分に言い聞かせながら、ナイル川の静寂の中で眠りにつきました。
果たして、私は無事にアブシンベルへ向かうことができるのでしょうか……。
WhatsApp(ワッツアップ)とは? 世界的にシェアの高い、日本でいう「LINE」のようなメッセージアプリです。エジプトを含む中東・欧州では、個人間のやり取りだけでなく、ツアー業者やホテルとの連絡手段として最も一般的に使われています。

アスワン・アブシンベルのまとめ記事はこちらの記事で紹介してます。
→【アスワン観光まとめ】アブシンベルの行き方・フィラエ神殿・宿選び・移動手段を解説


コメント