※この記事は連載「不安だらけのエジプトひとり旅」の第⑰話です。初めての方はエジプトひとり旅15日間の全記録から読むと流れがわかりやすいです。
前回の記事:【エジプト旅行⑯】ルクソール西岸ツアー開始|ハトシェプスト女王葬祭殿の絶景
この記事は、2024年11月に私が実際に王家の谷を訪れ、5つの墓を回った体験がベースです。そのうえで、料金・開園時間・撮影ルールのように変わりやすい情報については、2026年9月時点でエジプト観光・考古省の公式サイトを確認し直しています。「当時こうだった話」と「今こうなっている話」は、読んでいて混ざらないように分けて書きました。
📋 王家の谷に行く前に、これだけは知っておきたい5つ
1. 基本チケットで入れるのは、その日に公開されている墓から3つだけ
2. ツタンカーメン・ラムセス5世6世・セティ1世はすべて追加料金
3. チケット窓口はカード払い。現金だけだと詰みます
4. 公開されている墓は日によって変わります。候補は多めに
5. 日陰がほぼありません。行くなら朝早い時間がおすすめです
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こちらは掲載数が多く、半日・1日・気球つきなど選択肢の幅で選びたいとき向け。
王家の谷(Valley of the Kings)とは|ルクソール西岸の王墓群
ハトシェプスト女王葬祭殿を後にし、アリーさんの車でさらに岩山の奥へと進みます。次の目的地は、ルクソール西岸にある世界遺産「王家の谷(Valley of the Kings)」。
乾いた岩山の奥に広がるこの谷には、60基を超える墓と、ほとんど穴に近い未完成の墓が20基ほどあるとされています(エジプト観光・考古省の公式サイトによる)。「王家の谷」という名前ですが、実際にはファラオだけでなく、王族や身分の高い高官の墓も含まれているそうです。
また、王家の谷は東の谷と西の谷に分かれていて、観光で「王家の谷」と呼ばれるのはほぼ東の谷のほう。西の谷にはごく少数の墓しかありません。
ここに確実に埋葬された最初の王とされているのが、第18王朝のトトメス1世(紀元前1504〜1492年頃)。その後約500年にわたって、ファラオたちの埋葬地として使われました。
場所はこちら。ルクソール市街地からはナイル川を渡った西岸側にあります。
📍 王家の谷チケット売り場(Googleマップ)
結論から言うと、王家の谷は「どの墓に入るか」で満足度が大きく変わる場所でした。実際に5つ回った体験をもとに、おすすめや注意点をリアルにまとめていきます。
⏱️ 私の滞在時間:5つの墓を見学して、約1時間50分〜2時間ほどでした。ゆっくり壁画を楽しみたい方は、2時間半〜3時間ほど見ておくと安心です。
王家の谷のチケット料金と仕組み【2026年最新版】
ビジターセンターに到着すると、まず精巧な立体模型が迎えてくれます。地下に広がる迷宮のような墓の構造を見ているだけで、これからの探検への期待が高まります。

基本チケットは「3つの墓を選んで入る」方式
王家の谷のチケットは少し特殊で、基本チケット1枚で、その日に公開されている墓の中から好きな3つを選んで入場する仕組みです。入るたびにチケットに穴を開けられ、3つ入ったら終わり。
そして重要なのが、人気の高い墓は基本チケットの対象外だということ。現地の料金表にも「The ticket includes entry to three tombs except Tomb of Sety I – Tutankhamun – Ramesses V,VI(このチケットはセティ1世・ツタンカーメン・ラムセス5世6世を除く3つの墓に入れます)」とはっきり書かれています。
現地に掲示されていた料金表(2024年11月時点)
実際に撮ってきた掲示板の内容が以下です。学生料金まで書かれていたので、そのまま書き出しました。

| チケット種別 | 大人(外国人) | 学生 |
|---|---|---|
| 基本チケット | 750 EGP | 375 EGP |
| ツタンカーメンの墓(KV62) | 追加 700 EGP | 350 EGP |
| ラムセス5世・6世の墓(KV9) | 追加 220 EGP | 110 EGP |
| セティ1世の墓(KV17) | 追加 2,000 EGP | 2,000 EGP |
| アイの墓(WV23) | 追加 200 EGP | 100 EGP |
気づいた方もいると思いますが、セティ1世の墓だけ学生割引がありません。他の墓はきっちり半額なのに、ここだけ大人と同額の2,000 EGP。王家の谷の中でも別格の扱いということなのだと思います。
それとアイの墓(WV23)。これは200 EGPと安いのですが、東の谷ではなく西の谷にあるため、少し離れています。今回は行っていませんが、時間に余裕があって人混みを避けたい方は選択肢になりそうです。
📅 2026年9月時点の公式料金と比べてみました
エジプト観光・考古省の公式チケットサイトを確認したところ、基本チケットは大人750 EGP/学生375 EGPと表示されていました。追加料金の墓についても、2026年時点の複数の情報源でツタンカーメン700 EGP、ラムセス5世6世220 EGP、セティ1世2,000 EGPが確認できます。
つまり私が2024年11月に撮影した掲示板の金額と、2026年9月に公式サイトで確認した金額は同じでした。ギザのピラミッド内部の入場料が値上がりしていることを思うと、ちょっと意外です。
→ エジプト観光・考古省 公式チケットサイト(Valley of Kings)
とはいえエジプトの入場料は予告なく変わります。出発前にこの公式ページを一度見ておくのが確実です。
私が実際に払った金額
私は基本の3つに加えて、特に保存状態が良いと評判のラムセス5世・6世の墓と、ツタンカーメンの墓の追加チケットも購入しました。
墓のチケット代の合計は1,670 EGP(日本円で5,316円)。内訳は750+220+700です。
これに現地で払ったトラム代20 EGPを足すと、この日の王家の谷での支払いは合計1,690 EGPということになります。
5,316円というのは当時のカード請求額なので、日本円の価格はレートで変わります。2026年9月時点のレート(1 EGP=約3.1円)で計算し直すと、目安はこんな感じです。
| 項目 | EGP | 日本円の目安(2026年9月のレート) |
|---|---|---|
| 基本チケット | 750 | 約2,300円 |
| +ラムセス5世・6世(KV9) | 220 | 約680円 |
| +ツタンカーメン(KV62) | 700 | 約2,170円 |
| チケット代 小計 | 1,670 | 約5,150円 |
| トラム(往復) | 20 | 約60円 |
| 合計 | 1,690 | 約5,210円 |
エジプト旅行全体でいくらかかったのかは、こちらでまるごと公開しています。
→ 【エジプト旅行費用まとめ】15日間ひとり旅の総額30万円のリアルな内訳を全公開
チケットは窓口で買う?オンラインで買う?
私はチケット売り場の窓口で購入しました。追加チケットもここでまとめて買います。

ただ、いま同じ場所に行くならオンラインでの事前購入も選択肢に入れていいと思います。エジプト観光・考古省の公式サイト(egymonuments.com)にはチケット予約の機能があり、購入するとQRコードが発行される仕組みのようです。窓口の行列を回避できるのが最大のメリット。
💡 オンライン購入するなら、QRコードは必ずスクリーンショットを撮っておいてください。
谷の奥に進むとスマホの電波がかなり弱くなります。「入口で読み込めない」という事態を避けるため、ホテルを出る前に画面を保存しておくのが安全です。
それともうひとつ、窓口のガラスに貼ってあった注意書きがこれ。「The tickets are NOT REFUNDED beyond this point」=ここを過ぎたらチケットの払い戻しはできません。
💳 王家の谷のチケット窓口はカード払いでした
私が訪れた2024年11月、王家の谷のチケット窓口には「Cards Only(カード決済のみ)」の紙が何枚も貼られていました。料金表にも「You can pay with electronic cards」と明記されています。実際、私もクレジットカードで支払いました。

なぜカードのみなのか。エジプトでは遺跡や博物館のチケット販売をデジタル化・非現金化する取り組みが政府主導で進められているようで、王家の谷もその流れの中にあると考えられます。よく言われている背景としては、以下のようなものがあります。
- 不正・横領の防止:現金払い時代の着服や不透明な会計をなくし、デジタル決済で政府の管理システムに直接記録する狙いがあると言われています。
- 外貨の管理:観光業はエジプトの重要な外貨獲得源。公式な銀行ルートを通すことで正確に把握できる、とされています。
- 窓口の効率化:お釣りのトラブルをなくし、混雑する窓口の待ち時間を短縮する効果もあるようです。
ただし、これらが公式に発表された導入理由というわけではありません。旅行者として大事なのは理由より事実のほうで、「現金だけ持って行くと入れない可能性がある」という一点です。エジプトの他の遺跡でも同じ方式が広がっているので、海外で使えるカードは必ず持って行ってください。
🔴 VISAまたはMastercardを最低1枚は用意しておきましょう。私はエジプトではVISAカード(楽天プレミアムカード)をメインに使い、観光施設の入場料をそれで払いました。施設によって対応ブランドや読み取り機の調子が違う可能性があるので、カードは2枚以上に分散しておくと安心です。
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私が使っているエポスカードは年会費無料で海外旅行保険付きでおすすめです。
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現地でどうしても現金(エジプトポンド)が必要になる場面では、エポスカードの海外キャッシングが重宝しました。エポスNetアプリに反映され次第(最速翌日〜数日)すぐに繰り上げ返済すれば、利息も最小限に抑えられます。
→ エポスカード海外キャッシング完全ガイド|ATMの使い方・現地通貨の選び方・繰り上げ返済まで解説
→ 海外旅行のクレジットカードはこの2枚でOK|エポスカード×楽天プレミアムカード実体験レビュー
📷 王家の谷は写真を撮っていいのか問題
ここ、けっこう混乱するポイントです。というのも、私が撮ってきた写真を見返すと、同じ敷地内の掲示で書いてあることが食い違っていました。
| 掲示場所 | 書かれていた内容 |
|---|---|
| チケット売り場の料金表 | Photography with mobile phone is free of charge (携帯電話での撮影は無料) |
| 谷のマップ看板 | Please no smoking or photography inside the tombs. (墓の中での喫煙・撮影はご遠慮ください) |
どっちなんですか?、と。どちらが現行のルールなのか、正直なところ私にはわかりませんでした。
ひとつ確かなのは、エジプト観光・考古省の公式サイトにも「携帯電話での撮影は無料」と明記されていることです。これは料金表の記載と一致します。
私自身は基本的にスマホで撮影して少しだけミラーレス一眼で撮影しました。2024年11月時点では、特に止められることはありませんでした。ただしこれは当時の話で、現在のルールを保証するものではありません。公式に「無料」と書かれているのはあくまで携帯電話での撮影であって、一眼レフやミラーレスについては公式サイトにも料金表にも記載がありません。「カメラには別途撮影許可証が必要」という情報も見かけるので、ここははっきりしないところです。
⚠️ 結論としては、こう考えておくのが無難です。
・スマホでの撮影は基本OK(公式に明記あり)
・フラッシュ撮影はしない(壁画の顔料を守るため)
・カメラを持ち込むなら、窓口で撮影ルールを確認しておくのが確実
・掲示より現地の係員の指示が最優先。注意されたらすぐやめる
撮影ルールは変更されやすい部分です。その日その場の案内に従ってください。
🕒 開園時間は「公式サイトの中でも書いてあることが違う」
撮影ルールに続いて、ここでも情報が割れました。調べた3つの情報源を並べます。
| 情報源 | 記載内容 |
|---|---|
| 現地の料金表 (2024年11月・私が撮影) | 毎日 6:00〜17:00 チケット売り場は16:00で終了 |
| 公式チケットサイト egymonuments.com | 夏季:6:00〜最終入場17:00 冬季:6:00〜最終入場16:00 ラマダン期間:6:00〜最終入場16:00 |
| 公式遺跡紹介ページ egymonuments.gov.eg | 曜日を問わず 6:00〜17:00 |
ご覧のとおり、同じ観光・考古省の中でも、ページによって少し書いてあることが違います。どれが最新なのか断定はできません。
ただ、3つとも共通しているのは「朝6時にオープンし、夕方には閉まる」という点。そして現地掲示にあった「チケット売り場のほうが1時間早く閉まる」というのが、旅行者にとって一番危ない落とし穴だと思います。閉園時間ではなく、チケット販売終了の時刻から逆算してください。公式サイトにも「閉園の1時間前までには到着してください」という注意が出ています。
そして時間帯としては、圧倒的に朝イチ推奨です。6時オープンなので、開園直後なら気温も観光客もまだマシ。昼に近づくほど、暑さと人の多さが両方きつくなっていきます。私がもう一度行くなら、できるだけ早い時間にスケジュールします。
ルクソールパスは使える?
現地の料金表には「Luxor pass allows the visit of Valley of the Kings(ルクソールパスで王家の谷に入場できます)」という一文もありました。
ルクソールパスは、ルクソール東岸・西岸の遺跡に5日間出入りできる共通パスです。標準版が130ドル、セティ1世とネフェルタリの墓まで含むプレミアム版が250ドルとされています。支払いは米ドルまたはユーロの現金のみで、パスポートのコピーと顔写真が必要という、なかなか独特な購入方法のようです。
私は買っていませんが、滞在日数ではなく「回る予定の遺跡の入場料を全部足していくら になるか」で判断するのが正解だと思います。130ドル(およそ2万円前後)を超えそうなら検討、届かなそうなら個別購入。それだけです。
なお、プレミアム版に含まれるネフェルタリの墓(王妃の谷)は公開が止まっている時期もあるようなので、そこ目当てで買う場合は事前確認を。パスの料金・条件も変わりやすいので、判断材料としてお読みください。
どの墓を選ぶべき?私が選んだ組み合わせ
「3つしか入れないのにどれを選べばいいの?」というのが、王家の谷で一番悩むポイントだと思います。
私が最終的に選んだのは、基本チケットでKV2(ラムセス4世)・KV16(ラムセス1世)・KV1(ラムセス7世)の3つ、それに追加料金でKV9(ラムセス5・6世)とKV62(ツタンカーメン)という組み合わせでした。理由はシンプルで、「壁画が一番きれいと評判のKV9は外せない」「ここまで来てツタンカーメンを見ないわけにはいかない」という気持ちが強かったからです。
⏱️ 迷ったときの優先順位(私の実感ベース)
壁画の密度で選ぶなら → KV9(ラムセス5・6世)※追加220 EGP
追加料金を払いたくないなら → KV16(ラムセス1世)がコスパ最強
初心者・バランス重視なら → KV2(ラムセス4世)
歴史好き・ミイラを見たいなら → KV62(ツタンカーメン)※追加700 EGP
ここで大事な注意点。その日に公開されている墓は日によって変わります。壁画を保護するためのローテーション制で、公開墓のリストはチケット売り場前に貼り出されています。目当ての墓が閉まっていることも普通にあるので、候補は5つくらい用意しておくのが現実的です。
目的別のもっと細かい組み合わせパターンや、所要時間の目安・行き方の比較は、ガイド記事のほうで詳しく比較しています。
→ 【王家の谷観光ガイド】チケット・おすすめ墓・所要時間・行き方を詳しく解説
🚃 トラムで墓エリアへ移動【2024年11月時点】
チケット売り場から実際の墓があるエリアまでは約600m〜1kmほどあるようで、「トラム(Tram/現地では Taftaf とも)」と呼ばれるゴルフカートのような乗り物で移動するのが一般的です。
| 項目 | 内容(2024年11月時点) |
|---|---|
| 料金 | 20エジプトポンド(往復・当時のレートで約60円) |
| 支払い | 現金(トラムは現金のみの場合あり) |
| 購入場所 | チケット売り場の建物を出て右側の専用窓口 |
※これは私が訪れた当時の情報です。料金や運用は変更されている可能性があります。「トラム代は入場券に含まれている」という情報も見かけるので、現地で確認してください。
💡 歩いて行けない距離ではないですが、炎天下の移動はかなり消耗します。素直にトラムを使うのがおすすめです。
⚠️ 王家の谷エリアは日陰がほとんどありません。岩山に囲まれた盆地のような地形で、太陽が容赦なく降り注ぎます。墓の中はひんやりとしていても、移動中に体力がじわじわと奪われていくので、水は必ず多めに持参してください。帽子・日焼け止めも必須です。
👗 王家の谷の服装・持ち物のポイント
日陰のない岩山なので、帽子・日焼け止め・水が必須。水は最低でも500mlは持っておきたいところです。靴は砂利の上を歩くため、サンダルよりスニーカーが安心です。帽子は現地だと質のいいものが見つかりにくいので、日本から持って行くのをおすすめします。
→ エジプト旅行の持ち物ガイド|一人旅で後悔したリアルな必須リスト

なお、現地でのスマホの通信については、私は日本で使っているahamoをそのまま海外でも使いました。月30GBまで追加料金なしで使えるので、地図を見たりGoogleで情報を調べたりするのにとても助かりました。ただし谷の奥は電波が弱くなるので、調べ物は入場前に済ませておくのが安心です。
→ 海外旅行の通信手段5つを比較|格安SIMユーザーが損しない選び方
3,000年以上前の色彩が息づく「ラムセス4世の墓(KV2)」
トラムを降りて最初に向かったのは、入り口からほど近い場所にあるラムセス4世の墓(KV2)です。一歩足を踏み入れた瞬間、その保存状態の良さに言葉を失いました。

ここが凄かった!ラムセス4世の墓
① 約3,000年以上前とは思えない「カラフルな壁画」
通路の壁一面、どこを見てもびっしりと文字(ヒエログリフ)や絵が刻まれています。驚いたのはその色の鮮やかさです。青いラインの上に、黄色や赤で色づけされた文字が整然と並んでいて、まるで現代のオシャレなデザインペーパーのよう。「これ、本当に数千年前の天然の絵の具なの?」と疑いたくなるほど、生き生きとした色が残っていました。


② 天井いっぱいに広がる「星空と女神」
奥の広い部屋で見上げた瞬間、思わず「わあ……」と声が漏れました。深い紺色を背景に無数の星が描かれ、まるで地下に宇宙が広がっているみたい。
天井には細長い姿の天空の女神ヌトが描かれていました。後で調べると、古代エジプトではヌトが夜に太陽を飲み込み、朝に再び産み落とすことで昼と夜が生まれると考えられていたそうです。そんな神話を知ると、ただの天井画だったものが急に意味を持って見えてきました。


別格の美しさ「ラムセス5世・6世の墓(KV9)」【追加料金220EGP】
🏺 KV9はこんな人におすすめ
・王家の谷で特に印象に残る墓を見たい
・壁画の美しさを重視する
・追加料金を払っても見ごたえを求めたい
→ 個人的には追加料金220EGPを払う価値のある、お墓でした。
次に訪れたのは、追加料金が必要なラムセス5世・6世の墓(KV9)。

⚠️ 追加チケットはお墓の入り口では購入できません!「やっぱり入りたい」と思ってもチケット売り場まで戻る必要があります。必ず最初に決めておきましょう。
結論から言うと、「追加料金を払う価値、大あり」でした。
① どこまでも続く、色彩のトンネル
入り口から奥へと続く通路がとにかく長く、その壁と天井のすべてが隙間なく鮮やかな彫刻と彩色で埋め尽くされています。先ほど見たラムセス4世の墓も綺麗でしたが、ここはさらに色の密度が濃い感じ。まるで「古代エジプトの美術館」に迷い込んだような錯覚に陥ります。



② 圧巻の「二重の宇宙天井」
一番の見どころは、最奥にある玄室の天井です。天空の女神ヌトが背中合わせに2体描かれており、「昼の12時間」と「夜の12時間」を表しているそうで、黄色い太陽が女神の体を通っていく様子が物語のように描かれています。見上げすぎて首が痛くなるほどでしたが(笑)、深い紺色と黄金色のコントラストは、写真で見るより何倍も神秘的で、吸い込まれそうなパワーがありました。


③ 巨大な石棺の迫力
部屋の中央には、破壊されてはいるものの、巨大な石棺の残骸が置かれています。その周りを囲む壁画の緻密さと、地下深くのひんやりとした空気。かつてここに王が眠っていたという歴史の重みを、肌でびりびりと感じることができました。

深い青に吸い込まれる「ラムセス1世の墓(KV16)」
次に向かったのは、追加料金なしの基本チケットで入れるラムセス1世の墓(KV16)。王家の谷の中ではかなり小規模なお墓ですが、中に入った瞬間のインパクトは他を圧倒していました。
① 空間を支配する「エジプシャン・ブルー」
急な階段を下りて玄室に入ると、そこには約3,000年以上前のものとは思えない、鮮やかな青の世界が広がっていました。壁一面を埋め尽くす背景の青が、地下の薄暗い空間でまるで夜空のように、あるいは深い水の底のように光を放っています。この青があるからこそ、その上に描かれた神々やヒエログリフの赤や黄色が、驚くほど鮮明に際立って見えるのです。

② 手が届きそうな距離にある、緻密な壁画
お墓自体がコンパクトなおかげで、壁画との距離が非常に近いのも魅力です。描き込まれた繊細なタッチをすぐ目の前で感じられるのは、小さなお墓ならではの贅沢です。



③ 中央に鎮座する、赤色花崗岩の石棺
青い壁画に囲まれた部屋の中央には、赤色花崗岩で造られた立派な石棺がそのまま残されています。これほど小さなお墓の中に、これほど大きな石棺がぴったりと収まっている様子は、当時の埋葬の緻密さと、ファラオの権威を物語っているようでした。

ラムセス1世の墓は、小規模ながらも色彩の「鮮やかさ」と「密度」においては、王家の谷でもトップクラスだと感じました。基本チケットで入れる墓として、間違いなくおすすめです!

世界で最も有名な「ツタンカーメンの墓(KV62)」【追加料金700EGP】
👑 ツタンカーメンの墓の特徴
・豪華さや壁画の量は意外と少ない
・かなり狭い
・でも王のミイラを実際に見られる唯一無二の体験
→ 歴史好き・「本物感」を求める人なら満足度は高い
王家の谷を訪れる誰もがその名を知る、第18王朝の若きファラオ、ツタンカーメンの墓。追加チケット700 EGP(2024年11月時点/現在のレートで約2,170円)が必要ですが、歴史的な発見の舞台をこの目で見たいという一心で、迷わず購入しました。
📍 ツタンカーメンの墓(KV62)の場所(Googleマップ)

① 意外なほどの「狭さ」に驚く
一歩足を踏み入れてまず驚いたのは、そのコンパクトさです。入り口の階段を下りると、すぐに玄室(棺が置かれた部屋)にたどり着いてしまいます。他の王たちが数十年かけて巨大な地下宮殿を築いたのに対し、若くして急逝したツタンカーメンには十分な時間がなかった……。その歴史的事実が、この「狭さ」からダイレクトに伝わってきて、なんとも言えない切ない気持ちになりました。
ちなみに、ツタンカーメンの死因については現在も学術的に断定されていません。
2010年に発表されたDNA・CT検査の研究では、足の骨折や骨・足部の病変に加えて、マラリア感染が確認され、これらが死因に関係した可能性が指摘されています。口蓋裂や内反足、ケーラー病II型といった複数の疾患を抱えていたとも。両親が兄妹だったことによる遺伝的な影響も指摘されています。
その裏づけとして有名なのが、墓から見つかった130本以上の杖や杖の一部。一部には実際に使い込まれた跡があったそうで、生前から歩行に困難を抱えていたと考えられています。9歳前後で即位し、19歳前後で世を去った少年王——そう思うと、この小さなお墓がますます切なく見えてきます。


② あまりにも「普通」に横たわるミイラ
この墓で最も衝撃的だったのが、ツタンカーメン自身のミイラとの対面です。厳重な警備や仰々しい演出があるのかと思いきや、彼は玄室の隅にあるガラスケースの中に、驚くほど「普通」に安置されていました。布に包まれ、黒く乾燥した顔と足先が露出しているその姿は、かつて強大な帝国を統治した王というよりは、一人の華奢な少年そのもの。

「本当に、ここに彼が眠っているんだ……」
3,300年という時を越えて、今まさに自分の目の前に彼がいるという事実に、背筋がゾクっとするような不思議な感覚に陥りました。
たまたまなのか、有料だからなのか——墓の中に人がほとんどおらず、気づいたら私とツタンカーメンのミイラの二人きりになっている瞬間が数分間ありました。写真では絶対に伝わらない「空気」が、あの狭い地下室にはありました。
③ 黄金色に輝く壁画と石棺
狭い玄室ですが、その壁画の密度は圧巻です。一面が鮮やかな黄金色に塗られ、そこにはヒヒの姿や、神々に迎えられるツタンカーメンの姿が力強く描かれています。部屋の中央には巨大な石棺が鎮座しており、かつてこの中から、あの有名な黄金のマスクをはじめとする副葬品が発見されたのかと思うと、その歴史の重みに圧倒されました。


🏺 【重要】黄金のマスクは、王家の谷にもカイロ市内にもありません
ツタンカーメンの副葬品は、長らくカイロ市内のエジプト考古学博物館に展示されていました。ですが2025年11月にグランドオープンしたギザの「大エジプト博物館(GEM)」へ、黄金のマスクを含む約5,398点の副葬品がすべて移されています。
つまり現在は「王のミイラは王家の谷、副葬品はギザのGEM」という分担。黄金のマスクが目当てなら、カイロ・ギザ観光の日程にGEMを必ず入れてください。
→ カイロ観光まとめ|2日・3日モデルコースとおすすめスポット完全ガイド
→ ギザのピラミッド観光完全ガイド|入場料・チケット・回り方・早朝がおすすめな理由
④ 「ファラオの呪い」の真実
ツタンカーメンの墓といえば、切っても切れないのが「ファラオの呪い」の話。1922年に考古学者ハワード・カーターがこの墓を発掘した直後、スポンサーだったカーナヴォン卿が急死し、関係者が次々と不審死を遂げたとして世界中で大騒ぎになりました。
ただ実際には、カーナヴォン卿の死因は蚊に刺された跡への細菌感染から肺炎を併発したもので、発掘の主役であるカーター本人は60代まで生涯を全うしています。「呪い」の噂は、発掘報道を独占したタイムズ紙に反発したライバル紙が、関係者の死のたびに面白おかしく書き立てたことで広まった——というのが現在の有力な見解とされています。それでも「呪い」の噂が世界中を駆け巡ったことで、ツタンカーメンの名前は一気に広まったわけで、なんとも皮肉な話ですね。
⑤ 追加料金を払う価値はあるか?
「狭いし、壁画も一部にしかないからガッカリする」という口コミもありますが、私は「絶対に入るべき」だと断言します。確かに豪華さでは他の墓に譲るかもしれませんが、発見された当時のままの場所で、王のミイラと静かに向き合える時間は、他の何物にも代えがたい特別な体験でした。
ただし、正直に補足しておくと——「壁画の美しさ」だけで比べるなら、220 EGPのKV9のほうがコスパは圧倒的に上です。
ツタンカーメンの墓(KV62)の700 EGPは「壁画代」ではなく「ツタンカーメン本人と同じ空間に立ち空気感や雰囲気を感じる場所」だと思ってください。そこに価値を感じるかどうかで、判断は分かれると思います。

最後の1枚「ラムセス7世の墓(KV1)」
基本チケット3つ目に選んだのは、入り口のすぐ近くに位置するラムセス7世の墓(KV1)。階段や通路が短く、サクッと見学できます。

① 小さな墓だからこそ伝わる「歴史のリアル」
ラムセス7世の墓(KV1)は、王家の谷の王墓としてはかなり小規模です。ラムセス7世の在位はわずか数年(諸説あり)で、その短い治世と墓の規模には関連があると考えられています。
豪華な地下宮殿を築いた王たちの墓を見たあとにここへ入ると、「王の墓にも規模の差がある」という当たり前の事実が、妙に生々しく伝わってきます。

② 天井に広がる「星空の女神」との再会
一番奥の玄室にたどり着くと、ここでも天空の女神ヌトが迎えてくれました。深い青地に黄色の星々が散りばめられたデザインは、何度見ても飽きることがありません。地下の暗闇の中で、王が永遠に夜空を見上げられるように……という当時の人々の願いが、狭い空間だからこそより身近に感じられました。

③ 床に彫り込まれた、珍しい石棺のくぼみ
このラムセス7世の墓では、床の岩盤を彫り抜いて作られた、石棺を収めるためのくぼみが見られます。他の豪華なお墓とはまた違う、独特で質実剛健な造りに、当時の埋葬スタイルのバリエーションを垣間見た気がしました。

数千年前の壁画の横に、160年前のサインを見つけた
ラムセス7世の墓をじっくり観察していると、壁画に混じって『MOGINIE FISHER FEB.5.1858』という文字が彫り込まれているのを見つけました。
この人物が何者だったのかについては、確かな記録は見当たりません。わかるのは「1858年2月5日に、誰かがここを訪れて名前と日付を残した」ということだけです。
19世紀半ば、ナポレオンのエジプト遠征以降、ヨーロッパでは空前の「エジプトブーム」が起きていました。当時はまだ遺跡保護の概念が薄く、訪れた記念に自分の名前や日付を壁に彫り込む旅行者も少なくなかったようです。現代ではもちろん厳禁の行為ですが、こうした古い落書きが今も残されているのを見ると、いろいろ考えてしまいます。
1858年といえば、日本ではまだ江戸時代(安政5年)。幕末の動乱期に、遠くこのルクソールの地を訪れた誰かがいた。そう思うと、古代エジプトの歴史に、近代の旅人の歴史がレイヤー(層)のように重なっているのを感じて、なんとも不思議な気持ちになりました。
ちなみにこの落書き、ガイドブックにもほとんど載っていません。壁の下のほう、目線を落とさないと気づかない位置にあります。KV1に入る予定の方は、ぜひ探してみてください。見つけたときの「うおっ」という感覚を、ぜひ味わってみてください。

【個人的】王家の谷おすすめ墓ランキング
実際に訪れた5つの墓すべてを、「満足度」と「見ごたえ」でランキングしました。
| 順位 | 墓の名前 | 追加料金 | おすすめポイント |
|---|---|---|---|
| 🥇 1位 | ラムセス5世・6世の墓(KV9) | 220 EGP | 圧倒的な壁画の密度と二重の宇宙天井。追加料金でも絶対見るべき |
| 🥈 2位 | ラムセス1世の墓(KV16) | なし | エジプシャンブルーの美しさが圧巻。基本チケットで最高コスパ |
| 🥉 3位 | ラムセス4世の墓(KV2) | なし | 保存状態が素晴らしく、初心者にもおすすめ |
| 4位 | ラムセス7世の墓(KV1) | なし | 短時間でサクッと。1858年の落書きなど「歴史の層」が面白い |
| 👑 特別枠 | ツタンカーメンの墓(KV62) | 700 EGP | 豪華さより「歴史の重み」。王のミイラを実際に見られる唯一無二の体験 |
これから王家の谷を訪れる方は、まずはKV2(ラムセス4世)・KV16(ラムセス1世)・KV9(ラムセス5・6世)の3つを優先するのがおすすめです。基本チケットで2つ+追加料金220EGPでKV9を加えれば、満足度がぐっと上がります。
ガイド付きツアーとチャーター車、どっちがいい?
王家の谷をどう巡るかは、予算と「どれだけ深く知りたいか」で決めるのがおすすめです。
- ガイド付きツアー(安心・深掘り派) 各墓の壁画に描かれた神話や、ファラオの歴史的背景を解説してもらえるので、感動が段違いだと思います。初めてのエジプト旅行で、知識ゼロから楽しみたい方には最適です。
- チャーター車のみ(自由・コスパ派) 私のように「アリーさんのような専属ドライバーのチャーター車」だけを予約し、ガイドなしで回るスタイルです。
- メリット: ガイド料がかからない分、費用を安く抑えられる。自分のペースで好きなだけ写真を撮ったり、ベンチで休憩したりできる。
- デメリット: 壁画の意味を自分で調べる必要がある。
私が申し込んだのは、ガイドなしで車とドライバーだけをチャーターするプランでした。というのも、現地ツアーの多くは英語ガイドが中心。英語が話せない私にとっては、ガイドが付いても正直あまり意味がなかったんです。ドライバーのアリーさんとは翻訳アプリでやり取りできたので、それで十分でした。
事前にブログやYouTubeで少し予習していったので、ガイドなしでも「これがヌト女神か!」と十分楽しめました。「自由度と安さ」を取るならチャーター車、「効率と学び」を取るならガイド付きツアーという感じだと思います。
私が比較したときは、同じような西岸ツアーでも予約サイトによって価格も含まれる内容もけっこう違いました。1社だけ見て決めず、いくつか並べて比べるのをおすすめします。
🗺️ 王家の谷・ルクソール西岸ツアーの探し先
→ ルクソールの現地ツアーを見てみる(VELTRA)
予約もサポートも日本語で完結。英語でのやり取りが不安ならまずここ。
→ 王家の谷のツアーを探してみる(GetYourGuide)
王家の谷に絞った専用ページがあり、掲載数が多いのが強み。
→ ルクソールのアクティビティを見る(Klook)
同じ内容でも価格差が出やすいので、比較用に見ておくと損しにくいです。
各予約サイトの違いは、こちらで英語が苦手な人向けに整理しています。
→ 海外旅行の現地ツアー予約サイトおすすめ比較|英語が苦手な初心者向けにタイプ別で解説
王家の谷を巡り終えて
太陽の下、地下に広がる5つのお墓を巡り終えた頃には、感動で満たされていました。正直、体力的にはかなりギリギリで、最後の方はじわじわとバテていましたが(笑)、それでも「来て良かった」という気持ちしかなかったです。
ルクソール観光の中でも、王家の谷は間違いなくハイライトのひとつでした。ルクソールに行くなら、王家の谷は絶対に行った方がいいです。時間がなくても、ここだけは外してほしくないと思うくらい。
チケットの仕組みや各墓の回り方、所要時間や行き方をもっと詳しく比較したい方は、こちらの記事でまとめています。
▶ 【王家の谷観光ガイド】チケット・おすすめ墓・所要時間・行き方を詳しく解説
こうして王家の谷の見学を大満足で終え、再びアリーさんの待つ車へ。次に向かうのはメディネト・ハブ(Medinet Habu)。西岸観光の旅はまだまだ続きます。
📍 メディネト・ハブの場所(Googleマップ)
個人手配ではなく、ツアーで行きたい方へ
ここまで書いておいてなんですが、「そもそもエジプトに一人で行くのが不安」という方も多いと思います。私も出発前はずっとそうでした。添乗員付きのパッケージツアーなら、チケットの買い方も移動もまるごとお任せできるので、不安の総量はかなり減ります。
ルクソールにはこの他にも多くの見どころがあります。東岸・西岸の効率的な回り方やモデルコースはこちら。
▶ 【ルクソール観光まとめ】見どころ・モデルコース・行き方・必要日数を解説
次の記事→【エジプト旅行⑱】アラバスターのお土産屋さんと穴場遺跡「メディネト・ハブ」|ルクソール西岸ツアー後半


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