※この記事は連載「不安だらけのエジプトひとり旅」の第⑮話です。初めての方はエジプトひとり旅15日間の全記録から読むと流れがわかりやすいです。
前回の記事:【エジプト旅行⑭】夜のルクソール散歩|スークの迷宮とライトアップされた神殿、街に溢れる「10番」の謎
🗺️ ルクソールの現地ツアーを探すなら(3社比較)
→ ルクソールのツアー・アクティビティを見てみる(GetYourGuide)
→ ルクソールの体験・アクティビティを探す(Trip.com)
→ ルクソールの現地ツアーを見てみる(VELTRA)
早朝2時半。アラームの音とともに、ルクソールの朝が始まりました。昨日カイロからの便でもらったクラッカーを口に放り込み、眠い目をこすりながら大急ぎで準備を済ませます。

ひっそりと静まり返った暗い廊下を通り、ロビーへ降りると、そこにはすでに迎えのスタッフの姿がありました。いよいよ、気球乗り場への旅が始まります。
ナイル川を越えて「西岸(死者の街)」へ
ルクソールの街は、ナイル川を挟んで「東岸(生者の街)」と「西岸(死者の街)」に分かれています。古代エジプトでは、太陽が昇る東を「生」、太陽が沈む西を「死や来世」と結びつけていたとされ、王家の谷やハトシェプスト葬祭殿といった葬祭関連の遺跡は西岸に集まっています。私が泊まっているのは東岸。そして気球が上がるのは、西岸の王家の谷近く。まずは船でナイル川を渡らなければなりません。
迎えの車に乗り込み、港(船着場)へと向かいます。「私一人?途中で誰かピックアップするのかな?」そう思っていましたが、結局港まで貸切状態。しかもホテルから港までは、歩いても行けるほどの目と鼻の先の距離でした。

船の中を通り抜けて乗り込む、エジプト流の乗船
港には、ナイルクルーズに使われるような大きな船がずらりと停泊していました。驚いたのはその乗り方です。

船と船が横に数珠つなぎのように並んでいて、奥の船に乗るには、手前の船の中を通り抜けて進んでいく必要があります。まるで水上迷路みたいです。
船 → 船 → 船 → 目的の船、という感じで進んでいきます。

私が乗る船に到着したときは、まだ他のお客さんはおらず、一番乗り。しばらくすると、団体客がぞろぞろと乗り込んできたり、私が乗った船を通り抜けて、さらに奥の船へ向かったりと、港は一気に活気づいてきます。
周りを見渡すと、ほとんどがグループ客。一人で参加しているのは、どうやら私だけのようです。
船上のティータイムと、11月の冷え込み
出発まで少し時間があり、船内で配られた紙コップのコーヒーを飲みながら一息つきます。
ルクソール=暑いイメージがありましたが、11月の早朝は想像以上に冷え込みました。半袖一枚の人は、ほとんど見かけませんでした。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 11月の平均最高気温 | 約29℃ |
| 11月の平均最低気温 | 約14℃ |
| 早朝の気温 | 10〜14℃前後まで下がることも |
| おすすめの服装 | 薄手のジャケットやパーカーなど羽織るものを持参 |
※上記は一般的な気候情報をもとにした目安です。年や天候により異なります。
👒 気球ツアーの服装は「羽織れるもの」が必須
気球を待つ屋外の時間は意外に長く、早朝のルクソールは想像以上に冷え込みます。半袖の上に薄手のジャケットやパーカーを必ず1枚。上空はさらに風が強くなるとされているので、羽織れるものがあると便利です。
→ エジプト旅行の持ち物ガイド|一人旅で後悔したリアルな必須リスト
動き出すナイルの夜明け
やがて船がゆっくりと出発。暗闇のナイル川の上では、他のツアー船も次々と動き出していました。途中、大きなクルーズ船に横付けして客をピックアップする場面もあり、ナイル川ならではの光景が続きます。

そうして約25分ほど揺られると、4時55分頃、ついに西岸(ウェスト・バンク)に到着しました。
船を下りると、そこには大量の白いバンが待機しています。そのほとんどが、トヨタのハイエースでした。

「エジプトの観光インフラを支えているのは、間違いなく日本の技術なんだな……」
そんなことを、遠いエジプトの地で改めて実感したのでした。
今回参加した気球ツアーの料金
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 予約サービス | Agoda |
| 料金 | ¥4,982(2024年11月時点) |
| プラン | ルクソールの中でも最安値クラス |
| 含まれるもの | ホテル送迎・ナイル川のボート移動込み |

今回このツアーを選んだ決め手は、その圧倒的な安さでした。実は、太陽が完全に昇った後の時間帯なら格安のツアーもいくつか見つかります。ですが、私が探した限りでは、『空の上で朝日を迎える早朝ツアー』の中では、ここが最安値でした。
一番見たい景色を妥協せずに、この価格で予約できたのはラッキーでした。
🎈 ルクソールの気球ツアーは予約サイトによって料金が大きく違うので比較がおすすめ
→ ルクソール日の出気球ツアーを見てみる(GetYourGuide)
→ ルクソールの熱気球ツアーを探す(Trip.com)
→ ルクソールの熱気球を探す(Klook)
→ ルクソールの現地ツアーを見てみる(VELTRA)
会場へ向かう道中でまさかの追突事故!
ハイエースに乗り込み、陸路で気球乗り場へ向かいます。会場が近づくにつれ車が増え、ノロノロ運転に。そんな中、なんと後ろの車が追突するというハプニングが発生!
運転手が降りて怒鳴り合いになり、「まさか警察沙汰?会場まで歩くの?」とひやひやしましたが、約1分後には運転手が戻り、怒りながらも運転を再開。エジプトではよくある光景なのか、謎のスピード解決でした。
5:30頃、会場に到着して車を降りました。
📸 駐車場では帰りに備えて写真を撮っておくのがおすすめ。添乗員らしき人の顔や服装も覚えておくといいでしょう。人数確認などしている様子もなかったので、置いてけぼりにならないように、私は必死についていきました(笑)。
事故をきっかけに強化された安全基準
会場に着いてから30分ほど待っても何も始まらず、周囲の話を聞いていると、どうやら風が強くて弱まるのを待っているようでした。風が弱まるまで待機の様です。

実はルクソールの気球には、忘れられない過去があります。
2013年2月、遊覧飛行を終えて着陸しようとした際、ゴンドラ内で突然火災が発生。制御を失った気球は急上昇し、上空300メートル付近で爆発・墜落しました。日本人4人を含む19人が亡くなった、熱気球事故として史上最多の犠牲者を出したとされる痛ましい事故です。
この悲劇を受け、エジプト当局は気球ツアーの安全基準を大幅に引き上げたとされています。
- 気象条件を航空当局が確認し、運航可否を判断するとされています
- 基準値を超える風速などの条件下では運航が見送られるようです
- 当局の許可が出ない場合は、どの会社も離陸できないとされています
この事故以降、安全管理は強化され、少しでも条件が悪い日はフライトが中止されることも珍しくないようです。
体感ではそれほど風は感じませんでしたが、上空の風速が基準を超えていたのかもしれません。

GOサインは、出るのか
時間だけがどんどん過ぎていき、会場には「今日はもう無理かも」という空気が漂い始めます。正直なところ、高度300メートル以上をふわふわ漂うことを考えると、半分は楽しみ、半分は怖い——このまま中止になってもいいかな、とも思い始めていました。

6:20頃、地平線から朝日が顔を出します。心なしか風も少し弱まった気がしました。

そして6:30頃、会場がざわつきます。
「ついにGOサインが出た!?」と思いきや——発表されたのは中止でした。
皆、残念そうな顔で車へと引き返します。ここからまた、船と車を乗り継いでホテルへ戻ります。
💡 中止になったときの返金について
気になる方も多いと思いますが、私の場合は返金はありませんでした。一応、予約したアゴダにも連絡はしました。詳しくは確認してませんが予約時の規約に「気象条件による中止は返金対象外」という旨が記載されていたかもしれません(※予約サービスや会社によって異なるようです)。参加前に必ず返金ポリシーを確認しておくことをおすすめします。
ほっとした自分がいた
帰りの車の中、少し残念な気持ちがある一方で、どこかほっとしている自分もいました。
同じ車に乗っていた欧州系のご年配のご夫婦は、「明日もう一度予約する?」と話し合っていました。実は私も、日程を調整すれば翌日の再チャレンジは十分可能でした。
それでも——私はやめることにしました。 ほんの少しだけ、恐怖が楽しみを上回ってしまったのだと思います。不安から始まった旅の終わりに、結局その不安に負けてしまいました(笑)。
けれど、夜明け前の静けさの中でナイル川を渡ったこと、ここへ辿り着くまでの時間。それだけでも、ルクソールの美しい朝を存分に味わえた気がして、胸の奥には不思議と満足感が広がっていました。

ルクソールの観光スポット・モデルコース・移動手段については、まとめ記事で詳しく解説しています。
▶ 【ルクソール観光まとめ】見どころ・モデルコース・行き方・必要日数を解説
次の記事:【エジプト旅行⑯】ハトシェプスト女王葬祭殿とメムノンの巨像|西岸観光スタート


コメント