コムローイ祭りは「一生に一度は見たい絶景」と言われていますが、実際に行ってみて一番大変だったのは、会場にたどり着くまでの移動でした。
結論:移動の大変さを受け入れられるなら、間違いなく行く価値があります。ディズニー映画「塔の上のラプンツェル」のモデルになったとも言われる光景は、本物でした。ただし、特にCAD会場は移動と混雑がかなり過酷でした。
この記事では、絶景の話だけでなく、移動のカオス・帰りの混乱・当日の段取りまで、実体験をもとにまるごとレポートします。コムローイ祭りの行き方・CAD会場の注意点を知りたい方はぜひ最後まで読んでみてください。
- コムローイ祭り(イーペン祭り)とは?基本情報をおさえておこう
- 【2025年ならでは】シリキット王太后崩御と「服装」のルール
- 主要3会場の特徴と選び方
- チケットの種類と席の違い——どれを選ぶべきか
- チケットと予約について(実体験)
- 持ち物・服装で気をつけること
- 当日タイムライン:移動編(ここが一番きつかった)
- 荷物は最小限で正解だった
- 18:30〜 ようやく会場に到着:受付と入場の手順
- 20:00〜 自分の席へ、そしてボッチの現実
- 20:25 ランタン打ち上げ本番
- 21:15〜 帰りもカオスだった
- 正直な結論:楽に行きたいならプライベート送迎を検討した方がいい
- この体験はどんな人に向いているか
- 【重要】体験したからこそ言える「失敗しないためのアドバイス」
- 迷ったらこれだけ守ればOK
- 知っておきたい:コムローイ祭りが抱える課題
- これから行く人へ
- まとめ:「地獄の移動」を越えても、行く価値はあるか
コムローイ祭り(イーペン祭り)とは?基本情報をおさえておこう
まず基本から。イーペン祭りとは、タイ北部チェンマイで毎年11月の満月前後に行われる伝統行事です。そしてその中で行われる儀式の一つが、ランタンを空に放つコムローイです。「コムローイ」はタイ語で「浮かぶランタン」という意味で、日本では「コムローイ祭り」として広く知られています。
同じ満月の夜に行われる「ロイクラトン(灯籠流し)」と並んで、チェンマイを代表するお祭りです。もともとは農作物の豊穣と繁栄を祈願する素朴な仏教行事が起源で、現在では世界中から旅行者が集まる大規模なイベントに発展しています。
【2025年ならでは】シリキット王太后崩御と「服装」のルール
今回のコムローイ祭りは、例年とは少し異なる雰囲気でした。
開催直前の2025年10月24日に、タイ王国のシリキット王太后(享年93歳)が崩御されたからです。タイ全土が服喪期間に入った影響で、イベント自体の中止こそありませんでしたが、タイ政府からは派手な演出や大音量の音楽を控えるよう主催者側へ自主的な見直しが呼びかけられていました。法的な規制ではなく、あくまで主催者側への配慮要請という位置づけです。
それに伴いCADの主催者側からも「服装」について特別なアナウンスがありました。服喪期間中、タイ政府は一般国民に対して黒や落ち着いた色の服装を推奨していましたが、夜間のイベントということもあり安全面(暗い場所での視認性)を考慮して、CADの主催者からは参加者に「できるだけ露出を控えた白い服」の着用が呼びかけられていました。
実際に会場を見渡すと、日本人の多くの参加者が白いTシャツや、おしゃれな白い服を身にまとっていました。外国人の方々はあまり気にされていない様子で、色とりどりの服装の方が多い印象でしたが、日本人は白い服装の方が多くて、やっぱり日本人って律儀だなと思いました。夜空に放たれるオレンジ色の光が、会場を埋め尽くす白い服の人々に反射する光景は、図らずもこの年の特別な祈りの深さを象徴しているようでした。実際には花火もたくさん上がって盛り上がっていたので、演出がどの程度変わったのかはわかりません。

主要3会場の特徴と選び方
チェンマイのコムローイ(一斉打ち上げ)は、主に以下の3つの会場が有名です。それぞれ規模・雰囲気・チケットの取りやすさが全く異なるため、自分の旅のスタイルに合わせて選ぶことが重要です。
1. CADカルチャーセンター(CAD)
「圧倒的な数と華やかさを求めるならここ」
現在、最も人気があり規模が大きいのがこのCAD会場です。参加人数が1万人規模と最大級で、一斉に上がるランタンの数は圧巻。まさに「ラプンツェルの世界」を最も体感できる会場です。観光客向けに特化したエンターテインメント性が高く、フォトスポットや文化体験も充実しています。一方、人数が多いため、今回私が経験したような「移動のパニック」や「会場内の混雑」が最も起きやすい会場でもあります。
2. タイ・ランタン・フェスティバル(TTB)
「安心感と適度な規模感を求めるならここ」
以前はHISなどの大手旅行代理店が取り扱うことが多かった会場で、日本人参加者が多いのが特徴です。運営が比較的しっかりしており、初心者でも安心しやすい環境です。規模はCADより小さいですが、その分一人ひとりのスペースが確保されやすいメリットがあります。「海外のローカル感」を求める方には少し物足りないかもしれません。
3. トゥドンカサタン(メージョー大学敷地内)
「伝統と宗教儀式の重みを体験したいならここ」
一斉打ち上げの形式で知られる代表的な会場の一つで、仏教儀式としての側面が非常に強いことが特徴です。打ち上げ前には長い瞑想の時間があり、厳かな空気が流れます。スピリチュアルで静謐な雰囲気を好む方向け。白系のドレスコードもより厳格で、チケット確保も他会場より難しいことが多いです。
| 会場 | 規模 | こんな人向け | チケット取りやすさ | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| CAD | 約1万人(最大) | 迫力・写真映え重視 | △(早期完売) | 移動・混雑が大変 |
| TTB | 中規模 | 安心・安定志向 | ○ | ローカル感は薄め |
| メージョー | 中規模 | 伝統・儀式重視 | ×(最も難しい) | ドレスコード厳格 |
迷ったら:初めてならTTB、絶景・迫力重視ならCAD、タイの伝統を深く体験したいならメージョーを選ぶのがおすすめです。
チケットの種類と席の違い——どれを選ぶべきか
CAD会場のチケットはスタンダード・VIP・プレミアム(会場・年によってはエリートも)の席種があり、席の位置・送迎車両・食事エリアがそれぞれ異なります。
| 席種 | 席の位置 | 送迎車両 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| スタンダード | 外周(後方) | ソンテウ(エアコンなし) | 広範囲のランタンが視界に入る。 |
| VIP | 中間エリア | エアコン付き車 | ステージに近く、送迎が快適 |
| プレミアム | 中央エリア(ステージ近く) | エアコン付き車 | 花火をバックにしたランタン写真が撮りやすい |
※スタンダードの送迎は案内ではソンテウとなってましたが、行きはバスに乗れました。帰りはソンテウでした。
私は3ヶ月前の購入で上位のチケットは売り切れてたためスタンダード席しか選べませんでした。スタンダード席(外周・後方)はランタンが広範囲に見渡せます。一方、VIPやプレミアムは花火をバックにランタンが上がる写真や動画が撮りやすいというメリットがあります。インスタ映えや動画撮影を重視するなら、上位席を早めに狙う価値があると思います。
また、スタンダード席の送迎はソンテウ(エアコンなしの車)、VIP・プレミアムはエアコン付きバン。11月のチェンマイは日中かなり暑いので、移動の快適さを重視する場合も上位席がおすすめです。
「花火をバックに写真を撮りたい・移動を快適にしたい」ならVIP以上を、「ランタンの海を広く見渡したい」ならスタンダード後方席を狙うのがおすすめです。
チケットと予約について(実体験)
今回参加したチケットの詳細は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ツアー内容 | 入場券+往復送迎(CAD主催) |
| 参加日 | 2025年11月5日 |
| 席種 | スタンダード席 |
| 料金 | 約22,890円 |
| バス送迎開始時間 | 13:00 |
私は約3ヶ月前の8月に購入しましたが、その時点ですでに売り切れているプランが多く、スタンダード席しか選べませんでした。他のサイトや上位席を狙う場合は、もっと早めに予約する必要があります。特にCAD会場は人気が高く、毎年7〜9月頃には主要プランが売り切れ始めるようです。日程が決まっている場合はできるだけ早く確保しておくのが安心です。航空券やホテルもイベント日が近づくにつれて価格が上がっていくため、こちらも早めの予約がおすすめです。
「行くと決めたら即予約」が鉄則です。
チケットは以下のサービスで取り扱いがあります(年によって在庫状況が変わるため、複数のサービスで確認することをおすすめします)。
注:サイトごとに取り扱い会場が異なります。CADやTTBなど、どの会場のプランかは各リンク先にて詳細をお調べください。
▶ チェンマイ ランタン祭りのツアーを探す(GetYourGuide)
▶ チェンマイ ランタン祭りのアクティビティを探す(Trip.com)
▶ コムローイ祭りのプランを探す(トラベル・スタンダード・ジャパン)
持ち物・服装で気をつけること
コムローイ祭りはイベントの性質上、持ち物の選択が体験の快適さを大きく左右します。実際に参加してみて、あってよかったもの・必要だと感じたものをまとめます。
| アイテム | 理由 |
|---|---|
| モバイルバッテリー | 長時間外出+写真・動画撮影でスマホが一気に減る |
| 折り畳み傘・レインコート | 11月は雨季明けだが夜に突然降ることがある(実際に帰り際に降った) |
| 羽織り・薄手の上着 | 日中は暑いが夜の会場は少し冷えるので人によっては必要かも |
| ポケットティッシュ・ウェットティッシュ | トイレや食事のときに |
| 帽子・日焼け止め | バス集合場所での屋外待機が長くなる場合がある |
| 小さめのバッグ | 大きな荷物は混雑の中で大きな足枷になる |
服装については、2025年はCAD主催者から白い服が推奨されていました。火を扱うイベントのため、燃えやすい素材・過度に露出した服装は避けるのが無難です。
当日タイムライン:移動編(ここが一番きつかった)
私の当日の流れを時系列でまとめると以下のとおりです。失敗例として参考にしてください。
| 時刻 | 状況 |
|---|---|
| 13:00 | ホテル出発。Grabを呼ぼうとするが捕まらない |
| 〜14:30 | 約1時間半Grabを探し続ける。トゥクトゥク交渉も失敗 |
| 15:30 | バス集合場所(パーヤップ大学)に到着。カオス状態 |
| 〜18:30 | バスで移動(通常30〜40分の距離が渋滞で約3時間) |
| 18:30 | CAD会場に到着。受付・トイレ・食事を確保 |
| 20:00 | 指定席へ移動。セレモニー開始 |
| 20:25 | ランタン一斉打ち上げ |
| 21:15 | 会場を出る。帰りの送迎車を探して15〜20分彷徨う |
| 〜22:30 | チェンマイ市内(MAYAモール付近)に到着 |
ホテルを出てから会場到着まで約5時間半。これが最大の誤算でした。
13:00〜 Grabがまったく捕まらない
当日は13時ごろにホテルを出発。指定された集合場所のパーヤップ大学(PIH)へ向かうため、まずはGrabでタクシーを呼ぼうとしました。
しかし——まったく捕まりません。車種を変えたり、場所を少し移動したり、できることは一通り試しましたが、1時間以上マッチングせず。約1時間半アプリとにらめっこすることになりました。
途中、自分でトゥクトゥクを停めて交渉もしましたが、
「今日は混んでるから2000バーツ(約10,000円)なら行く」
という提示。相場から考えても高すぎるため断り、再びGrabを探すことに。最終的に粘り続けてようやく1台捕まり、なんとかバス集合場所へ向かうことができました。このときのGrab料金は237バーツ(約1,172円)でした。
ソンテウを捕まえて交渉して貸し切りでバス乗り場まで行く方もいるようです。
⚠️ 重要:イベント当日の午後帯(13時以降)はGrabはほぼ機能しないと思ってください。この日のようなイベント日は、Grabを当てにしない前提で移動手段を確保しておくことが必須です。ホテルスタッフへの事前相談か、プライベート送迎の手配を強くおすすめします。
15:30〜 バス集合場所が完全にカオス状態
ようやく到着したバス集合場所ですが、ここが一番きつかったです。係員のような人はいるものの、誘導はほぼ機能していません。

- 人数に対してバスの数が足りていない
- どんどん人だけが増えていく
- 後から来た人が割り込んだり、並ばずに別の車線のバスに乗り込んだりする
秩序は完全に崩壊。最初は並んでいた人たちも途中から我慢できなくなり、最終的には我先にと乗り込む割り込み状態になっていきます。11月のチェンマイは日中かなり暑く、その中で人が密集し続けるこの状況は、かなり体力を削られました。「並んでいればいつか乗れる」という前提は通用せず、私自身も何度も乗り込もうとして、やっとバスに乗れたという状況です。

〜18:30 バス移動は約3時間(床でもむしろ快適だった)
なんとかバスに乗ることはできましたが、席は空いていませんでした。私を含め何人もの人が床や通路に座る形で移動することに。CAD会場はチェンマイ市内から通常30〜40分ほどの距離とされていますが、当日は渋滞が重なり、約3時間かかりました。途中で休憩などは一切なかったため、トイレは乗車前に必ず済ませておいてください。
ただ、バス車内はクーラーがしっかり効いていて、直前までのカオスな状況と比べると、床でもむしろ落ち着いて過ごせる快適な環境でした。
早く動けばよかった——YouTubeで知った衝撃の事実
後日、YouTubeで「コムローイ祭り」を検索して動画を見てみると、スムーズに会場に行けたという動画が結構ありました。これらの動画に共通しているのが、早い時間に会場に向かっているということ。私が行ったときには大行列だった場所が、全然人が並んでいない動画が映し出されていて、ある意味衝撃でした。
おそらく私もあと2時間くらい早くホテルから出ていたら、Grabが捕まらない状況も、バスに乗るのに苦戦することもなかったと思います。ちなみに私がホテルを出たのは13時頃で、時間はそこまで遅くはありません。バス乗り場までの移動手段を確保するのに時間がかかり過ぎました。バス乗り場には15時半頃に着きました。
コムローイ祭りのCAD会場に行くなら、早い時間に行動するのが最大のコツ。会場に早めに着いて、食事やショーを楽しみながら祭りを待つのが正解です。
荷物は最小限で正解だった
今回はバックパックはホテルに置き、小さなバッグだけで参加しました。結果的にこれは正解でした。あの混雑の中では、大きな荷物を持っていたら移動はかなり厳しかったと思います。
18:30〜 ようやく会場に到着:受付と入場の手順
カオスなバス移動を経てようやく会場に到着すると、まずは受付を行います。事前に用意していた電子チケット(QRコードなど)を提示し、首から下げるラミネート加工されたパス(入場証)を受け取ります。これには自分の「Zone(エリア)」や「Seat No.(座席番号)」が明記されており、会場内での身分証代わりになります。

入口ゲートは「STANDARD」「VIP」「PREMIUM」と色分けされた看板が掲げられており、自分のチケットの種類に合わせて入場します。竹と茅葺きのような屋根で作られたゲートは、いかにもタイの伝統行事らしい雰囲気を感じさせてくれました。

まずはトイレと食事の確保
ようやく会場に滑り込み、まず真っ先に向かったのはトイレです。時間が経てば経つほどトイレは混雑し状態も悪くなっていきます。到着したら最初に済ませておくのが鉄則です。特に帰りのバスは休憩なしで長時間移動する可能性があるため、帰りのバス乗車前にも必ず立ち寄っておくことをおすすめします。
ランタンを飛ばすのは20時以降とのことで、それまでの約1時間半を食事に充てることにしました。CADのチケットには食事代も含まれており、スタンダード・VIP・プレミアムとランク別に分かれた食事スペースが用意されています。

しかし、移動で遅れたことがここでも響きました。私が食事エリアに入ったときには、すでに片付けを始めているブースも多く、開いている場所には行列ができていました。結局、いくつかのお店をハシゴして並ぶことになりました。もっと早く到着できていれば、より多くの種類を楽しめたはずですが、あの移動地獄を考えれば、食事が口にできただけでもマシだったかもしれません。

20:00〜 自分の席へ、そしてボッチの現実
20時を回ったところで、ランタンを飛ばす指定席へと向かいます。会場は広大なので、席探しに不安がある人は余裕を持って動き始めるのが正解です。
メイン会場は広大な敷地に白いプラスチック椅子が整然と並べられており、その中央には黄金に輝く仏塔(パゴダ)が鎮座しています。夜空を突き刺すようなサーチライトが四方から放たれ、伝統行事でありながら現代的な演出も加わった、独特の緊張感と高揚感が漂っていました。

各座席には、あらかじめ2つのランタンがセットされていました。日本語サイトからチケットを手配したせいか、周囲は驚くほど日本人ばかり。女子グループやカップルが目立ち、ぼっちで参加しているのは(笑ってしまうほど)私だけという状況でしたが、ここまで過酷な道のりを越えてきた身としては、もはやそんなことは気になりません。
20:25 ランタン打ち上げ本番
20時を過ぎると、いよいよメインイベントである打ち上げの準備が始まりました。まずは場内アナウンスで、タイ語・英語・中国語・日本語など複数の言語で説明が行われました。
そして20時25分。会場の期待が最高潮に達し、ついに一斉リリースの合図がかかります。私の周りにいたグループが次々と手を離し、視界がオレンジ色の光で埋め尽くされていき、花火もあがり——あまりにも美しい光景に見とれてしまいました。

……正直に言います。これまでの移動の疲れや、バス乗り場でのストレスが、この瞬間に一気に吹き飛ぶほどの圧倒的な絶景でした。

視界のすべてがオレンジ色の温かい光に包まれ、ゆっくりと、しかし確実に夜空へと吸い込まれていく光景は、写真や動画では到底伝えきれない迫力があります。空が光で埋め尽くされ、自分のすぐ近くを熱を帯びたランタンが通り過ぎていく……。この没入感こそが、1万人規模のCAD会場を選ぶ最大のメリットだと言えるでしょう。

空を見上げれば言葉を失うほどの絶景。しかし足元を見れば、落下したランタンの火を消し止めるスタッフや、燃えたままのランタンが放置されているカオスな現実。YouTubeで見ていた「ラプンツェルの世界」そのものの美しさと、現地でしか味わえない「剥き出しのリアル」。その両方をひとりで見届けたとき、この祭りは単なる観光以上の、強烈な記憶として私の中に刻まれました。

落下してきたランタンを食らってる人もいました。コワイヨ(꒪⌑꒪.)!!!

しばらくは火元が順番待ちの状態でしたが、ある程度落ち着いてきたころ、私もそろそろ自分のランタンに火を灯そうと火元に近づきます。近くにいた人たちが手伝おうとしてくれましたが、その前に火がついて無事着火。
火元から少し離れて、じっとその時を待ちました。手に伝わる熱気と、空へ行こうとする強い浮力。十分に温まったことを確認して手を放すと、私のランタンは他の数千の光の中に溶け込むように、真っ直ぐに夜空へと吸い込まれていきました。もし、ランタン飛ばし検定があれば、私は3級くらいはとれそうです(笑)。

ランタン内部の空気が十分に温まる前に手を離してしまうと、浮力が足りずに失速し地上へ落下してしまいます。実際、私の視界に入る範囲だけでも、何人ものランタンが上手く上がらずにそのまま落下し、会場のあちこちでボッと火が上がる光景を目にしました。幻想的なイベントの裏側で、あちこちで「小規模な火事」が起きているような状況には、正直少し肝が冷えました。
着火のコツは、袋から出したランタンを洗濯物を干す前のように振って内部を空気で膨らませてから着火すること。ランタンの紙と着火剤の間に距離ができて安全に点火しやすくなります。袋から出してすぐ点火しようとすると、紙の部分に炎が燃え移ることがあるので注意。
21:15〜 帰りもカオスだった
結論から言うと、帰りの送迎車はどこにいるか全くわかりませんでした。
打ち上げ開始から約50分後の21:15頃、早めに会場を出ることにしました。大型バスが止まっている場所に向かうも「違う」と言われ、警備員に聞いても「わからない」と言われ、スタッフに言われた場所に向かっても、それらしき場所はない。15〜20分歩き回って、ようやくソンテウがたくさん停まっている駐車場を見つけて、運転手に行き先を確認して乗ることができました。おそらくスタッフ自身もあまり把握していないのだと思います。

帰りの送迎はMAYAモール(メイヤーモール)とナイトバザールの2か所が降車場所です。乗車前に行き先を必ず確認してください。違う場所で降ろされる可能性があります。
この後、雨も降ってきましたので、早めに撤退して正解でした。行きは3時間かかったのに帰りは1時間10分ほどで、ホテルまで徒歩圏内の場所に到着。ちなみに行きも帰りもチケット確認は行われなかったので「誰でも乗れるんじゃね?」っていう状況でしたが(笑)。

最後まで残ると送迎車の混雑はさらに激しくなると思われます。天候や体力と相談しながら、早めの撤退を検討するのがおすすめです。
正直な結論:楽に行きたいならプライベート送迎を検討した方がいい
今回の経験から感じたのは、「送迎付きプランでも、集合場所までの移動が大変」という現実です。問題はバス集合場所に「どうやってたどり着くか」でした。イベント当日の午後帯はチェンマイ市内のGrabが壊滅的に捕まらず、流しのタクシー・トゥクトゥクは強気な値段設定。ここに1〜2時間を溶かしました。
もし、ストレスなく快適に楽しみたいなら、ホテルからのドアツードア送迎付きのプライベートツアーがあれば検討する価値は十分あります。特に以下の方には向いていると思います。
- 一人旅で不安が大きい方
- 体力的に長時間の炎天下の待機がきつい方
- 旅慣れていない方
- 移動トラブルで気持ちを消耗させたくない方
逆に言えば、「多少のカオスも含めて旅の醍醐味」と思える人なら、バス送迎プランでもちゃんと楽しめます。私自身、大変だった移動も含めて、今では全部いい思い出になっています。
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この体験はどんな人に向いているか
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 多少のカオスを楽しめる人 | スムーズさ・快適さを最優先したい人 |
| リアル体験を求める人 | 混雑・炎天下の待機が苦手な人 |
| 「ラプンツェルの光景」を肉眼で見たい人 | 体力的に不安がある人 |
| └ ※プライベート送迎を使えば体力的な負担は大幅に軽減できます | |
| ひとり旅で新しい体験をしたい人 | 事前計画どおりに動きたいタイプ |
| 多少の出費より「体験」を優先できる人 | 節約旅行の人(チケット+移動でかなりの出費) |
【重要】体験したからこそ言える「失敗しないためのアドバイス」
- とにかく早く動く: バス送迎の開始時間(13:00)より2時間程度早めに行動するのが理想です。Grabを捕まえる時間・バス乗り場での待機・会場での食事、すべてを余裕を持って確保できます。
- Grabはイベント当日午後は当てにしない: ホテルからバス集合場所までの移動手段は、ホテルスタッフへの事前相談かプライベート送迎の手配が確実です。
- 「秩序」を期待しない: バス乗車時だけでなく、会場内でも多少の混乱はあります。「日本的な順番待ち」は通用しない場面が多いと覚悟しておきましょう。
- トイレは早めに: 到着直後と帰りのバス乗車前、必ず立ち寄ってください。時間が経つほど混雑・状態悪化します。
- 帰りの降車場所を乗車前に確認: MAYAモールとナイトバザールの2か所があります。乗る前に行き先を必ず確認してください。
- 荷物は最小限に: 大きなバッグは混雑の中で大きな足枷になります。
- 一人参加でも浮かない: 周囲はグループやカップルが多いですが、暗いので一人でいても全く気になりません。むしろ一人の方が、カオスなバス乗り場での機動力(隙間に滑り込む力)を発揮できます。
迷ったらこれだけ守ればOK
- ✅ 2時間早く動く
- ✅ Grabは使わない前提で移動手段を用意する
- ✅ 荷物は最小限にする
- ✅ トイレは到着後すぐ&帰りのバス前に済ませる
- ✅ 帰りは早めに出る(21時台)
- ✅ 帰りの乗車前に降車場所を確認する
知っておきたい:コムローイ祭りが抱える課題
コムローイ祭りは圧倒的な美しさを持つ一方で、いくつかの深刻な問題も抱えています。参加前に知っておきたい現実として、正直に書いておきます。
火災リスク
落下したランタンが火種となり、周辺の民家や乾燥した草むらへの延焼事故が毎年発生しています。地域住民からは反対意見も出ており、問題が深刻なチェンマイ以外の多くの都市ではランタンを上げること自体が法律で禁止されています。チェンマイ市街地でも、許可を得た有料会場以外での打ち上げは法的に禁止されており、違反した場合は最大5年の禁錮や20万バーツの罰金が科せられる可能性があります。
航空便への大きな影響
ランタンは高度数百メートルまで上昇するため、航空機の安全に直接影響します。2025年のコムローイ祭り期間中、チェンマイ国際空港では欠航約65便・時間変更約96便が発生し、合計160便以上に影響が出たとされています。主に19時以降の夜間便が大幅に制限されるため、コムローイ祭りの日程でチェンマイ発着の夜間フライトを予約している場合は、欠航・時間変更のリスクを十分に考慮してください。
環境問題
「紙と竹だから自然に還る」と思われがちですが、多くのランタンには形状を保つための針金(ワイヤー)が使われています。この針金は分解されずに残り、野生動物や家畜が誤飲して健康被害を与えることがあるとされています。また、数万個のランタンの燃えカスが森や川に散乱し、回収しきれないものが景観や生態系に影響を与えるという問題も指摘されています。実際に私も、会場内で落下したランタンの燃えカスが各所に散乱しているのを目にしました。
今後の縮小・中止リスク
これらの問題を受け、タイ政府は年々規制を強化しています。現地在住者の間では「政府から中止命令が出ることも十分にあり得る」という声もあり、チェンマイ以外では既に規制が進んでいます。コムローイ祭りが現在の形で開催され続けるかどうかは、正直わかりません。「いつか行こう」と思っているなら、早めに行くことを個人的にはおすすめしたいです。
美しいイベントであることは間違いありません。ただ、その裏側にこういった問題があることも知った上で参加する方が、より誠実な旅になると思っています。
これから行く人へ
この記事を読んで「大変そうだな……」と思った方もいるかもしれません。でも正直に言うと、早く動けばほとんどの問題は解決します。移動のカオスのほぼすべては、出発が遅かったことが原因でした。
そして、その移動で心折れなければ——夜空を埋め尽くすオレンジ色の光は、間違いなく「来てよかった」と思わせてくれます。私はひとりで参加しましたが、あのランタンの海を見た瞬間の感動は、誰かと一緒だったとしても同じだったと思います。それくらいの絶景でした。
チェンマイへの航空券やホテルも早めに押さえておくのがおすすめです。
まとめ:「地獄の移動」を越えても、行く価値はあるか
CAD会場のコムローイ祭りは、確かに圧倒的な景色が見られるイベントです。ただその一方で、Grabが捕まらない・集合場所が混乱している・移動に時間と体力を使う、といった現実もあります。「綺麗だから行きたい」だけでなく、この状況に対応できるかどうかも含めて判断するのがおすすめです。

私個人の感想としては——一度は経験して正解でした。あの光の海を見た瞬間、それまでの移動の疲れが全部吹き飛びました。ただし、二度目に行くなら間違いなく早い時間に動きます。それだけは断言できます。
人気のイベントなので、毎年7〜9月頃には主要プランが売り切れ始めるようです。日程が決まっている場合はできるだけ早くチケットを確保しておくのが安心です
注:サイトごとに取り扱い会場が異なります。CADやTTBなど、どの会場のプランかは各リンク先にて詳細をお調べください。
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